またすごいものを読んでしまった。
- 野尻英一(2006)
「カントとヘーゲルにおける有機体論の差異について─社会科学の起源を探る─」
in 『ソシオサイエンス』vol.12,
早稲田大学大学院社会科学研究科
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/9488
続きを読むルーマンに代表される現代システム論は,単なる比喩としての有機体モデルから進んで,意識とシステムについての洞察を組み込むことで,自己言及的なシステムの理論に至った。現代システム論は,システムの本質として「自己言及性」を指摘することで,論理的には完全な理論構成を誇る。そして,それは,社会変革の可能性や人間の主体的な自由についての楽観論を許さない。ルーマンは,社会を「計画」することは不可能であると言い,「主体」としての個人は幻想だと言う[Luhmann 1990*: 117, 179-180]。システムは意識されたときにはすでに作動しており,意識もシステム作動の条件である。こうしたシステムを考えるとき,システムに「外」はない[河本 1995**: 158-160]。
こう考えるとき,人はただ「システムがある」,「システムのみがある」と言い得るだけである。[p.78]
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/9488