3. 法における所有図式の抽象化

3-1

  • 問: 法教義学は、こうした構造要求をどのように考慮に入れているか、それがいかにして普遍的な図式化問題を縮約し、縮減し、法律的に操作可能な概念的抽象性に翻訳しているのか。

3-2

  • 既存の法理論における所有:主観的法に還元される
    • 〈持つ/持たざる〉という区別としてではなく、所有者の他者排除資格として再構成されるのみ。
    • 所有の増大が、他の人びとの非所有も増大させることも考慮されない。
  • 二項コードという観念を導入すると、「権利保障/制度的保障」という区別を新しい光の中で見ることができる
    • 制度的保障は〈持つ/持たざる〉という選言の維持に関わる
    • 持たざることを脇に置いておくような諸々の権利(主観的法)へと整形することは、その手段である。

3-3

3-4 「機能分化と個人」のテーマ再び。

二分法図式は、コミュニケーション・コードにおける抽象なのであって、この抽象がコミュニケーション過程の基礎におかれ、それゆえに、同時に諸人格の同定のためにも適切とだいうことはない。それは図式は、多くの次元の行動制御の分化を前提にしており、それが人格の区別と取り違えられるならば、その機能を失う。それらはむしろ、コミュニケーション・コードとしてのその機能において、真理/非真理、法/不法、所有/非所有という相互に排他的観点のもとで、諸人格の分化が生じることを当てにしている。しかしまさにそれゆえに、ある次元から別の次元への移動が規律されねばならない。社会学的に見れば、このことは、人格が多かれ少なかれ大きな「役割距離」でもって引き受け交換しうるあれこれの役割の定義を通じて生じる。法教義学は、それに対応することを、図式の統一性を多数の主観的法=権利として再構成することによって、なしている。

3-5

  • 現行の法システム・法解釈学においては、特定の問題変換と縮減が、全体構造を考慮することなしに適合的でありえている
    • 社会システム理論は、それを示す必要がある。
    • それによって、教義学的概念的抽象性の潜在機能と派生問題を検討することができる。

3-6 法と経済の分化

ここよくわからない。再考。

こうした仕方で、システム内的統合への要請がごくわずかであることを通じて法と経済の図式の同一化が回避され、法システムと経済システムの分化が可能にされる。

3-7 主観の意思への抽象

3-8 意思への抽象に基づく抽象化の例

  • 「主観的所有権」という定式化が行う二つのこと:
    • a.
      • 〈持つ-できる/持たない-できない〉連関の例:「支配Herrschaft」、組織における「権限」(7節)
    • b. 主観関連性をとおして開かれた抽象の可能性:
      • (1) 契約法との連合を通じての所有権の流動化
      • (2) 所有と占有の区別
      • (3) 〈物権法的所有/非所有〉から〈完全な権利/完全な非権利〉への抽象
      • (4) 物権法的な意味における所有権と債権法的要請の区別
      • (5) 個々の所有者の人格性の抽象