八章「進化」III 選択

出版。プログラム(理論と方法)。「プロジェクト」。

p.620

変異は、選択にさらされるためには、出版されなければならない。

p.622

 進化的選択は、古い知識あるいは新しい知識に真ないし非真という象徴が貼り付けられることによって遂行される。

変異と選択の分化

p.620

変異と選択の分化によってはじめて、われわれが第四章で真理という象徴的に一般化されたメディアの二項コードとして記述したものが生まれるのであるし、逆も同様で(われわれはここでも循環的に議論している!)、変異と選択の分化という進化をとりわけ知識の領域で可能にするためには、そのようなコードが必要である。

選択と安定化の分化

p.628

選択は真ないし非真の値を与えることによって終わる。だがそれはまだ結果の安定を意味しない。生物学にみられるように、いわゆる中立的な突然変異が存在する。中立的な突然変異は、システムの安定の問題に相違をもたらすことなく、受容され再生産される。科学においても、革新は、既存の知識との一貫性が明らかにされないままに受容されうる。革新は孤立した知識として再生産される──それもまた妥当するというだけの理由で。17性気における科学の経験的展開によって、それがまさに普通のことのように思われるようになった。それいらい、「真」という象徴を与えるためには、方法的に保護された経験的な確定可能性だけで充分になった。それいらい、選択と安定化を区別しないわけにはいかなくなった。この意味で、真理の指標としての(従来の思想では 下等で、ただ「感覚的」なだけで、動物同様の)知覚を正当化することは、近代科学の進化メカニズムの進化におけるおそらく最も重要な一歩、すなわち知の営みの 脱目的論化 と 選択と安定化の分化 に向けた一歩である。