shifter (その2)

ひきつづき「妥当性というシンボル」についての第2章注131。
google:shifter+文脈でヒットしたのが下記文献:

ありがたく参照=引用させていただくと:

Kaplan (1989) はその直接指示理論の一部として、Context of use と Circumstances of evaluation (以下「値踏みの場」)を区別することを提案した。この理論では I, you, he, here などの一群の記号は indexical「指標詞」と呼ばれていて(14) 、その指示はContext of use によって決まるとされている(15) 。Context of use とは、おおまかに言えば、話し手が特定の時点・特定の場所において行なう一回一回の発話行為をさす。例えば I のような代名詞のさすものは、一回ごとに異なる。この指示を決定するのが Context of use である。
 一方、値踏みの場は、命題の真偽と、命題中で用いられた単称名辞の指示が決定される特定の状況をさす。わかりやすいものとしては、反実仮想 counterfactual などの可能世界があるが、これ以外にも、あるものが取りうる可能な状態、世界の歴史、時間などがあるとされている(16) 。

(14) Kaplan が indexical と呼んでいるのは、 Russell が “egocentric particular”、Reichenbach が “token reflexive” と呼んだものであり、言語学ではJakobson が“shifter” と呼んだものに相当すると考えてよい。I/you などの人称代名詞、here/there などの直示的副詞、today/yesterday などのように発話の現在を起点とする時間表現がこれに含まれる。
google:egocentric particularだと、クワイン先生の著名な議論がヒット。グッドマンさんの語用(指標語indicator words)と一緒に登場:

なるほど。てことで、どうやらさしあたり「言った人が違う(だけ)」と思っといてよいようですな。(でも、 ラッセルは indexical って語も使ってたんじゃなかったっけ?)

  • しかしルーマン先生も、どーせ indexical に言及するなら──ヤーコブソンだけじゃなく──社会学文献も参照しとけばいいのになぁ...とも思うがどうか。

もっとも/もちろん問題は、その 指標詞性indexicality をどのように扱うか=どのようなものとしてとらえるか、のほうなんですが。

  • しかし指示の問題が厄介なのはわかりきってるので、なるべくなら立ち寄りたくないですなぁ。