preadaptive advances

ルーマン社会の法〈1〉 (叢書・ウニベルシタス)』邦訳 p.266

法のコードが厳密に二分化され、それによって論理の上で技術化されるはるか以前にも、条件プログラムのかたちで記録された法素材が、豊富に存在していた14。したがって観察者が法システムに依拠するように指定された場合、その指定に拠って何が念頭に置かれているか(そして、何が置かれていないか)を知り得たのである。[‥] オートポイエティック・システムが新たに閉じられる場合、あるいはその閉じを徹底的に変化した全体社会のコンテクストのなかで、新たに定式化しつつ主張しなければならない場合、それは計画的な再組織化として生じるのではない。手持ちの装置を進化的に組み替える事によって生じてくるのである16

16)[‥] 慣習法が成立したり変化したりする などと言いうるのだろうか。あるいはどうやってそれを認識できるのだろうか。一般的な見解によれば、法から逸脱した実践は、法を形成しえないはずであり、また、法についての誤った認識を 放言法源 として用いる事は排除されているにもかかわらず、である。[‥*]

あったりまえのことを言ってるだけですが。
* ここでサヴィニーのローマ法研究(「現代ローマ法体系」)が参照されている。

法律関係が問われており意識されている場合には常に、それに関する規則がずっと以前から存在しているのである。したがって、その規則を新たに発見する必要もないし、発見する事など不可能である。これは疑いようのない事実である。[Savigny, System des ..., Bd.1, Berlin 1840, S.14]


ついでに。

【ローマ法】

  • ローマ法(独:roemisches Recht、仏:droit romain、英:Roman law, ルーマニア語:dreptul roman)は、古代ギリシア哲学・キリスト教とともにヨーロッパ文明を特徴付ける一大要素である。対象は古代ローマ共和国・帝国等の法に限られず、東ローマ帝国の法(特にユスティニアーヌス帝によるローマ法大全(市民法大全)の編纂)や、ヨーロッパ各地における継受・発展過程にも及ぶ。このローマ法(特に私法)を継受・発展させた諸国が、いわゆる大陸法諸国である。ドイツの一部では、1900年に民法典(BGB)が施行されるまで、現行法の一つとして用いられていた。主に大陸法を継受したわが国の法秩序は、間接的にではあるが、少なからぬローマ法の影響を受けている。