demianさんに言及していただきました。ありがとうございます。
ルーマン社会システム理論 「知」の扉をひらく:買ってしまった。
http://d.hatena.ne.jp/demian/20041121
ASIN:4787795236
日曜社会学のサイト(http://thought.ne.jp/luhmann/guides/guides060.html)ではあっさり「おこちゃま向け。」で片付けられているのですがそれとは裏腹にアマゾンのレビューではわかりやすいと絶賛。多分日曜社会学のid: contractioさんのような専門家の方には何をいまさら、とか易し過ぎる、となるのでしょうが初学者や私みたいな何の素養もない素人にはいい本なのでしょう。ていうかこの本ですら立ち読みの段階では小難しい印象が(苦笑)。しかしここで負けてなるかと変な意地を出して購入。ルーマンの理論を知っておくことで物事を考える際の何かの手助けになるかと思ったので。ちなみにルーマン自身の著書もありましたが今買っても絶対に途中で放り出すと思ってまずここから、と判断したのでした。
- 「わかりやすいと絶賛」と「おこちゃま向け」という二つのコメントは、「裏腹」の関係にはみえませんが...。
- 私は専門家ではありません。(というか──適切に言い換えると──、私の専門は社会学ではありません。)
- 初学者向けの書物で、「いまさら」なことを「易し過ぎる」くらいに書くことは、有益であるだけでなく必要不可欠なことだと考えます。
- ルーマンの議論は社会学史というコンテクストのなかで読まないとおよそ面白くも何ともないものであるのに、そこがまるで見えてこない、というのが一点目。そして──それと相即していることですが──、
- なんら「ルーマン独自」の見解ではない「社会学的にふつう」の議論を、ルーマンに──しかも、それがあたかも「新しいこと」であるかのように──帰してしまっているというのがもう一点。
- 他の本──たとえば、 ASIN:4769908164 や ASIN:4326652683──との比較でいえば、この本の購入はお薦めできます。
あとは。
個人的な見解ですが、タイトルが許しがたい、です。
こんなタイトルの本、電車の中では読めないっしょ。著者さんたちのせいじゃないですが。
ついでのコメント。
社会学(教育・学習)におけるギデンズの『社会学』は、生物学(教育・学習)における『Cell』に比すべき位置にある教科書だろう、と私は思うわけですが。
で、『Cell』を読まずに生物学の他の専門書を読む、ということがありえないのと同様に、ギデンズの『社会学』を読まずにルーマンを読む、というのもいかがなものか、と とりあえずは思ったりもするわけなのでした。生物学を学んでいる人の部屋に行けば、その人が全国のどの大学で学んでいるかにかかわらず、その人の部屋にはかならず『Cell』があり、そして例外はありえない(あったとすればその人の方が──人として 学生として──おかしい)。 同様に、全国のどこの大学に通っている人の部屋であっても──私の学生時代であれば*2──、その人が経済学を専攻しているのであればかならず『中谷のマクロ』がおいてありました。
ところが。
第三者的(?)に見ると、ギデンズの『社会学』は、おそらく社会学の本ではじめて(?)、そういうタイプの「教科書」としての地位を占めるに値する本でありうるものだったかと思うのですが、実際には、「全国のどこに行っても、その人が社会学を専攻しているならば、その人の部屋には『社会学』がある」という次第には──私の知る限りまったく──なっていませんでした。
ま、とりあえずの結論*3を書くと、
ということでした。
【追記】
c鈴木さんといなばさんにコメントを受けて、こちらにメモを書きました:
*1:「そういうこと」にこそ才能を発揮する人物、たとえばアンソニー・ギデンズの本とか(ASIN:4880592501 や ASIN:4880592706 や ASIN:4622017679 などなど)。
*2:いまでは他の本になっているでしょうけど。
*3:なんだそれは。