夜食。合評会準備スレ。ひきつづきさらにしつこく『表情 (弘文堂・思想選書)』。
「記号」と「舞台」と「感情」について。
第2章第2節「表情価値の構制」 ──舞台とはなんでしょう〜舞台装置とBedeutung について。
■露払い
われわれとしては
- しかじかの形状的認知がまずおこなわれ
- そこでの認知図像・認知心像に基づいてかくかくの感情が興起し、
- そこで成立した主体的興奮に促されてかくかくしかじかの反応的行動が発現する
といった三段階観を厳しく卻ける。[p.90]
■まえふり
著者の概念装置で言えば、アフォーダンスや要求特性も広義における表情価の一種であり、それらはさしあたり即応値(信号値・行動値)の一斑と言うことができる。(‥)/ [この件について当座の行論に必須な論点があり]それは、行為の論脈において是非とも配視さるべき事項であって、環界現相が行為にとって有つ「舞台的・道具的な 有意義性Bedeutsamkeit・価値性」に関わる。
偖、行為にとっての「舞台的・道具的な有意義性・価値性」の覚知は、(‥)原基的には、そしてまた、ルーティーン化しているケースでは、当の「舞台的・道具的な有意義性・価値性」の覚知が、まさに表情性知覚において直裁に成就する。(‥)[p.92]
この表情性覚知に即応した即応したしかるべき 舞台行動 が解発されるということ、このことを表情現相の一斑として、また表情価値性の一構制として指摘してお[く]。[p.99]
これを前提にして、対人的場面に議論をうつすと廣松役割理論が登場するよ。
■役割行動
役割行動というのは、所与の舞台的場面、所与の道具的条件下において、当事者に対して遂行を期待されている、即応的な一定行動のことである。[p.100]
役割行動の期待者は、現場に居合わせている具体的他人とは限らない。非人称化された世人による期待といった相になっている場合(‥)もある。(‥)発生論的にいえば、乳幼児は言語的理解が可能になる以前の局面から期待されている即応的行動を察知し始めているのであり、表情性感得という機制による役割期待察知が原基的であることが銘記されねばならない。
■期待察知
われわれとしては、[直裁的体験の情動価の感得に際して]「投企的に予料される実現情景の表象と連合した相で、督促価を帯びた相手の挙措が覚知されている意識事態」が現成するに至っているとき、期待察知の成立を云為することを許されるであろう。[p.119]