『ソシオロゴス』vol.31──日曜社会学10周年記念号*頒布開始

* タイトルはイメージです。

日曜社会学10周年記念に 論文というものを書いてみたわけです。そいつが掲載された『ソシオロゴス』の第31号が出版されましたので宣伝ですよ。

執筆段階における論文の紹介はこちら:【宴の】ルーマン・フォーラム10周年記念俺様事業【告知】
この雑誌は、執筆者が査読者を指定できるという一風かわった仕組みがあり──それでここを投稿先に選んだんですけど──、私たちのやつは 佐藤俊樹さんと三谷武司さんにお願いしましたですよ。
こいつが手元に 30冊(-α)ありますので、定価(1600円) より ちょい安で頒布します(1,000円 +送料80円)。購入希望の方は、 あてに 送付希望先を書いたメールをください。 売切御免。販売は終了しました。

購入希望の方は ソシオロゴス のウェブサイトからどうぞ。

『ソシオロゴス』取り扱い書店一覧:http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~slogos/shop.html


掲載論文は下記のとおり。

『ソシオロゴス』第31号掲載論文一覧

  1. トゥールミンの議論モデルの変容 氏川雅典
  2. 公共社会学論争の検討 瀧川裕貴
  3. M・フーコーにおける現代性modernite と現在性actualite 平田知久
  4. 社会システムの経験的記述とはいかなることか 酒井泰斗・小宮友根
  5. 「当事者の語り」の理論化に向けて 貴戸理恵
  6. 「聖」なるものへの「橋」 橋迫瑞穂
  7. 都市空間の90 年代をめぐる考察 石井和也
  8. 就職氷河期に「自己分析」はどう伝えられたのか 香川めい
  9. 地域福祉における住民参加の課題 朴 姫淑
  10. 「ポスト成長期」の開発計画における「埋め込み」の一様相──新潟スタジアムアルビレックス新潟を事例として 三浦倫平

なかなか(ある意味)お買い得の一号じゃないでしょうか[棒読み]。


酒井小宮論文の要旨:

社会システムの経験的記述とはいかなることか——意味秩序としての相互行為を例に——

要旨

 本稿の目的は、ルーマン理論を「経験的な学としての社会学」の中で受け継ぐための、ひとつの方向性を提示することである。この論点に関しては近年佐藤俊樹によって提出されているいくつかの論考があり、我々もそこに示された主題設定を引き継ぐことから始める。すなわち、「相互行為システム」はどのようないみで「社会システム」か、である。
 ルーマンの「社会システム」概念は、社会秩序という研究対象を社会学がいかに扱うべきかについての方針——「構造と作動の構成関係において」——を提示している。この方針に照らしたとき、ルーマン自身の「相互行為システム論」も、またその批判的検討である佐藤の議論も、ともに不適切である。本稿ではルーマンが参照していたゴフマンおよび会話分析の知見を参照しながら、システム類型を作るよりもまず実際の社会秩序を上記方針のもとで描くことこそが、ルーマン理論の検討と継承にとって必要であることを示す。

「本稿ではルーマンが参照していたゴフマンおよび会話分析の知見を参照しながら、」というのは誤解を誘う表現ですな。
「本稿ではルーマンが参照していたゴフマンに、さらに加えて会話分析の知見を参照しながら、」とかにすればよかったですか。


冒頭はこんな感じ:

1 はじめに

 ルーマン理論を「経験的な学としての社会学」の中で受け継ぎ・展開していく1ための方向性について、見通しを与えること。これが本稿の課題である。
 残念ながら、この課題に明示的に指向した先行研究はほとんど見当たらない。このことがすでに、ルーマン理論が社会学理論としてなんらかの難点をもつことを示唆しているように思われるが、ともあれ、この状況で着手できる前提的な作業として二つのことが考えられるだろう。一つは、ルーマン自身の記述を経験的な観点から検討すること。難点がわかればそれを改善すればよいだろうから。もう一つは、ルーマンの方針──「システムの作動を記述せよ」──に適った経験的研究の実例を先行研究のなかに探してみること。例がみつかれば、「では他にどんなやり方があるだろうか」と議論を展開させていくことができるだろうから。本稿が行おうとするのは、こうした作業である。[‥]

1 否定的に言い換えれば、ルーマン理論をある種の現代思想ないし政治思想として扱い キーワードやキャッチフレーズの供給源として消費したり、理論にあわせて現象を切り取ったり、理論を証明するために現象を用立てたり、トピックやジャーゴン(それ抜きでも成立する、いわゆる)実証研究の隙間に「彩り」として挟み込んで利用したり…… などなどといった仕方でではなく、ということである。


ところで共著者の小宮さんは、こっち↑と前後して、ライフヒストリー〜対話的構築主義を主題にした下記論文を書いておるのですが、そいつをめぐって こんな↓セミナーが開かれるとのこと。
これはたぶんナラージョな隠棲さんたちのセミナーですが、関心のある関西近隣在住のかた、どうぞ。

つーかこのセミナー、講師全員マイミクだ....