日曜社会学10周年記念に 論文というものを書いてみたわけです。そいつが掲載された『ソシオロゴス』の第31号が出版されましたので宣伝ですよ。

購入希望の方は ソシオロゴス のウェブサイトからどうぞ。
掲載論文は下記のとおり。
なかなか(ある意味)お買い得の一号じゃないでしょうか[棒読み]。
酒井小宮論文の要旨:
社会システムの経験的記述とはいかなることか——意味秩序としての相互行為を例に——
要旨
本稿の目的は、ルーマン理論を「経験的な学としての社会学」の中で受け継ぐための、ひとつの方向性を提示することである。この論点に関しては近年佐藤俊樹によって提出されているいくつかの論考があり、我々もそこに示された主題設定を引き継ぐことから始める。すなわち、「相互行為システム」はどのようないみで「社会システム」か、である。
ルーマンの「社会システム」概念は、社会秩序という研究対象を社会学がいかに扱うべきかについての方針——「構造と作動の構成関係において」——を提示している。この方針に照らしたとき、ルーマン自身の「相互行為システム論」も、またその批判的検討である佐藤の議論も、ともに不適切である。本稿ではルーマンが参照していたゴフマンおよび会話分析の知見を参照しながら、システム類型を作るよりもまず実際の社会秩序を上記方針のもとで描くことこそが、ルーマン理論の検討と継承にとって必要であることを示す。
「本稿ではルーマンが参照していたゴフマンおよび会話分析の知見を参照しながら、」というのは誤解を誘う表現ですな。
「本稿ではルーマンが参照していたゴフマンに、さらに加えて会話分析の知見を参照しながら、」とかにすればよかったですか。
冒頭はこんな感じ:
1 はじめに
ルーマン理論を「経験的な学としての社会学」の中で受け継ぎ・展開していく1ための方向性について、見通しを与えること。これが本稿の課題である。
残念ながら、この課題に明示的に指向した先行研究はほとんど見当たらない。このことがすでに、ルーマン理論が社会学理論としてなんらかの難点をもつことを示唆しているように思われるが、ともあれ、この状況で着手できる前提的な作業として二つのことが考えられるだろう。一つは、ルーマン自身の記述を経験的な観点から検討すること。難点がわかればそれを改善すればよいだろうから。もう一つは、ルーマンの方針──「システムの作動を記述せよ」──に適った経験的研究の実例を先行研究のなかに探してみること。例がみつかれば、「では他にどんなやり方があるだろうか」と議論を展開させていくことができるだろうから。本稿が行おうとするのは、こうした作業である。[‥]
ところで共著者の小宮さんは、こっち↑と前後して、ライフヒストリー〜対話的構築主義を主題にした下記論文を書いておるのですが、そいつをめぐって こんな↓セミナーが開かれるとのこと。
これはたぶんナラージョな隠棲さんたちのセミナーですが、関心のある関西近隣在住のかた、どうぞ。