いい人すぎるルーマンに魅せられて

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ルーマン理論に魅せられて

ルーマン理論に魅せられて

意味とシステム―ルーマンをめぐる理論社会学的探究

意味とシステム―ルーマンをめぐる理論社会学的探究

両者ともに既出論文(前者は紀要論文)をまとめたものでした。

 ルーマンと学問的交流のあった人々が各自の想い出を綴った本の中に、南米チリ出身の元留学生の回想がある。フライブルグでの語学研修を終え留学生たちがそれぞれの目的地へと散っていくなかで、彼は不安と緊張を胸にビーレフェルトルーマンの研究室をはじめて訪れる。聞く所によると、受け入れ先の教授に鼻であしらわれたような留学生仲間もいるという。初対面の不安と緊張は察するに余りある。ところがルーマンとの面会は予想だにしない展開を見せる。たどたどしいドイツ語を意に介するでもなく聞いていたルーマンは、住居はもう決めたのかと尋ねる。まだだと応えて国際交流課でメモしてきた候補物件の電話番号を示すと、彼はその場で相手方に電話を入れ、これから一緒に見に行こうという。驚く間もなく当該住居に着くと、不慣れなチリ人学生に代わってルーマンが家主と交渉し、はやばやと話を付けてしまう。しかも、ルーマン教授の紹介ならと保証金なしで入居OKとなったのである。[p.119]

春日淳一『ルーマン理論に魅せられて』