- 石井幸夫(2009)「言語をいかに問うべきか」 in 『社会学年誌』vol.50(早稲田社会学会)
http://www.waseda.jp/assoc-wss/nenshi.html
本稿の目的は、初期エスノメソドロジーの核心である その言語に対する考え方、取り組み方を 可能な限り平易な形で紹介し、これによってエスノメソドロジーをその一部とするより広大な社会学的研究領域、すなわち 言語をその使用に即して、実践として、方法として問うという研究領域の存在を示すことにある。本稿は以下のような議論を行う。すなわち、
こちら↑は 2006年にやった この↓シンポの報告を論文化したもの:
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- 新しい質的探究研究会 テーマセッション「歴史・言説・構築」
http://socinfo.g.hatena.ne.jp/contractio/20060129
- 新しい質的探究研究会 テーマセッション「歴史・言説・構築」
こちら↓は『概念分析の社会学』第7章(詳細目次
)のスピンオフ論文:
- 石井幸夫(2009)「境界の言葉──永井潜著『医学と哲学』について」in 『ソシオロジスト』vol.11(武蔵大学社会学部)
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AA11334546_ja.html
要約
本稿の目的は、戦前日本の優生学を牽引した人物としてよく知られている永井潜が語った言説の秩序の解明に向けた導入を行うことにある。
永井の語った言説に関しては近年多くの優生学研究者によって解明が進んでおり、とりわけそこにおいて「何が語られたのか」という問題に関しては多くのことが明らかになっている。しかし、私見では、まだ永井の多くの重要な言説が「何が方アッレ多野か」という問題の水準において未解明のままであり、さらにそれらが「いかに語られたのか」という(まさに言説研究の中心をなす)問題に関しては ほぼ完全に未解明と言ってもよい状態が続いている。本稿は、こうした欠落を ほんのわずかではあるが埋め、優生学の言説研究への導入を行うべく、永井の数或るテクストの中で、永井が1908(明治41)年に出版した『医学と哲学』というテクストを集中的に考察する。このテクストは永井が著した最初のテクストであり、また永井がその結論を生涯にわたって執拗に反復し続けたテクストでありながら、永井における優生学の展開に対するその意義はおろか、断片的な内容さえほとんど紹介されていない。永井の優生学言説の解明に取り組むには、このテクストを何よりもまず読み解いておかねばならない。
本稿は、まず永井の『医学と哲学』というテクストの内容を紹介し、次いでこのテクストが永井の言説秩序において持った意義を素描的にではあるが明らかにし、最後に永井の言説秩序の本格的解明に向けて考察すべき問題を提示する。