涜書:北田『広告の誕生』

記念(何の)として 今回、文庫本のほうも買ってみた。
文庫版は、あとがきを遠藤御大が書いておられるのですな。

広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (現代社会学選書)

広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (現代社会学選書)

広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (岩波現代文庫)

広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (岩波現代文庫)

修士論文(1996年)が 20代(2000年)で本になって 30代(2008年)で文庫になるという奇跡。

目次

序章 問題と方法
    • 1 広告のある風景――消費者のイメージ装置
    • 2 広告の存在論――ベンヤミンから
    • 3 方法をめぐって――広告コードと受け手の身体性
第1章 孤立する広告
  • 第1節 見世物のなかの/としての「広告」
    • 1 「文芸」と「広告」――戯作の読書空間と「広告」
    • 2 遊動空間のなかの「広告」――現前性 (presentation) の表象空間
  • 第2節 広告の誕生
    • 1 広告の萌芽――《舞台》としての新聞
    • 2 《香具師的なるもの》の回帰――売薬広告をめぐって
    • 3 言説の逡巡――売薬広告とそのメタ言説
  • 第3節 『近代』の軋み
第2章 散逸する広告
  • 第1節 広告の美学化
    • 1 《三越的なるもの》とポスター――啓蒙のメディアとしての美人画ポスター
    • 2 文化としてのテクノロジー――石板ポスターと表象空間
    • 3 「趣味」の涵養――初期ポスターと受容空間
  • 第2節 広告の工学化――工学の所産としてのポスター
    • 1 刺激としてのポスター―ポスターの媒体性への注視
    • 2 刺激の工学―商業美術(家)のアイデンティティ
  • 第3節 散逸する広告空間
第3章 融解する広告
  • 第1節 流動する《舞台》
    • 1 《舞台》の粉飾――《私的な遊動空間》の構築
    • 2 踊る広告――広告の「散逸」と「融解」
  • 第2節 〈欲望〉する女性と広告
    • 1 受け手としての女性――〈注意散漫〉な身体
    • 2 読み手/買い手としての女性――レスペクタビィリティと逸脱性の〈あいだ〉
    • 3 〈欲望〉する女性と消費――消費社会の虚焦点
  • 第3節 融解する広告空間
終章 遊歩の弁証法



表1 広告空間の変容

出典:北田(1997)「〈気散じ〉の文法」 id:contractio:20110223
[A] 趣味の表徴としてのポスター[B] 工学の所産としてのポスター
[1] 送り手
  • 「文化」「趣味」の伝達者-啓蒙者
  • 美術家
  • 「刺激」の工学者
  • 商業美術家・広告研究者
[2] 受け手
  • 馴化されるべき「俗衆」
  • 「作品」の観賞者
  • 友としての「大衆」
  • 「刺激」に反応する存在
[3] 広告空間の様態
  • 「作品」化 - 注視 の前提
  • 「作品」の否定 - 気散じの認識
[4] 受容の場
  • 世俗化された「美術」受容空間
  • 日常的な都市空間(駅など)
[5] 広告の内容
  • 受け手の《イマ-ココ》から遊離した超越性
  • 美人画
  • 受け手の《イマ-ココ》への定位
  • 手の届くライフスタイル
  • a) 「工学的制作〜刺激への定位→作品の否定」←これはわかる。
  • b) 「a)→気散じ」←こっちがまだわからない。

b にはいくつも媒介項があるんだろうね。そのへん一つずつ拾い上げて行ってみるか。


■続き