涜書:佐藤「計量分析のエスノメソッド」

おうちにある本を読むよ。ひさびさに再訪。

実践としての統計学

実践としての統計学

  • 序 実践としての統計学 (佐伯 胖) 
    • 0.1 「よくわからない」統計学
    • 0.2 心理学における統計学の濫用
      • 0.2.1 「帰無仮説検定」信仰
      • 0.2.2 データモデルと心理モデルの混同
        • コラム 0.1 プラモデルはどんな「モデル」?
    • 0.3 統計の「意味」とは
  • 第1章 必要とされるときの統計学──理論の「わかりやすさ」 (松原 望)
  • 第2章 データを読む──相関分析、主成分分析、因子分析の意味をさぐる (佐伯 胖)
  • 第3章 因果関係を推定する──無作為配分と統計的検定 (高野 陽太郎)
  • 第4章 仮説の統計的評価とベイズ統計学 (繁桝 算男)
  • 第5章 統計の実践的意味を考える──計量分析のエスノメソッド (佐藤 俊樹)
    • 5.1 統計解析の「意味」
      • 5.1.1 氾濫する「ハウ・ツー」
      • 5.1.2 「手順」と「メタ手順」
      • 5.1.3 意味の二つの意味
    • 5.2 統計学と計量分析
      • 5.2.1 記述統計の場合
      • 5.2.2 両側検定と片側検定
        • コラム 5.1 「平均人」という人工人間
      • 5.2.3 消せない飛躍
      • 5.2.4 計量の「不純さ」
        • コラム 5.2 回収率の「良し悪し」
      • 5.2.5 二つの論理
    • 5.3 計量社会学エスノメソッド
      • 5.3.1 社会調査という経験
      • 5.3.2 変数の意味の自由度
        • コラム 5.3 訪問先の「良し悪し」
      • 5.3.3 データ行列を「読む」
      • 5.3.4 「統計オタク」と「調査オタク」
      • 5.3.5 計量手法の使われ方
      • 5.3.6 制度をあつかう
      • 5.3.7 統計解析の生かし方
      • 5.3.8 データを分析する面白さ
        • コラム 5.4 「信心」と「信仰」
http://www.qmss.jp/qmss/related/stat05.htm

第5章

p.197

    • 5.3 計量社会学エスノメソッド
      • 5.3.1 社会調査という経験

 前節でみてきたように、統計学の論理と実際の計量分析の間には、ずれがある。a) 統計学的な論理一貫性と b) 計量分析での有用性 は 一致するとは限らない。だとすれば、実践的に意味のある統計学にするには、たんに統計学内部での論理を明確にするだけでは不十分である。計量分析の進め方から、つまり b) の視点から統計解析のメタ手順をコントロールしていくことが必要になってくる。
 前節では 統計学の基本的な部分に関してそれを考えてきたわけだが、より具体的な統計手法の使い方のレベルになると、社会科学といった大きな準拠枠ではなく、社会学、心理学、工学など、それぞれの学の「実践」practice から考えていかなければならない。有用性=どう役に立つのかは、社会学、心理学、工学……という個々の研究分野のいわば「エスノメソッド」(各分野ごとの固有なやり方・思考法)を知る必要がある**。

** 別のいい方をすれば、社会学の、心理学の、工学の、…、それぞれの計量分析のエスノメソドロジーが必要なのである。[...] ここで考察しようとしている統計学と計量分析との関係は、エキスパートシステムCSCWの関係にかなり近い(福留 1994)。

参照されているのは、

  • 福留恵子(1994)「グループウェアの現状と最新動向」『研究開発マネジメント』7

だれかコピーしてくれないか。