- 小島 昭(1970)「予算における意思決定の理論」行政学会編『現代行政の実践課題:予算・管理・市民参加』年報行政研究 8. 勁草書房
http://htn.to/gEdW3Y
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b24328.html
- 1 行政学における予算理論の問題点
- 2 規範論的予算過程論の再検討
- 3 実証的予算過程論
- 4 予算過程論をめぐる批判と反批判
- 5 予算における〈管理〉の再検討
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[リンドブロムの]理論は、社会的決定に関する一般理論を展開したもので、特に予算における意思決定の理論ではないが、これが後にのべるウィルダフスキーの予算過程論に大きな影響を与えている。人間の知的能力の限界制という点から「合理的」意思決定モデルないしは規範主義を批判し、実証的意思決定理論への道を行動科学的組織論の立場から切り開いた学者としてはサイモンが著名であるが、彼においては十分な展開をみなかったいわば非「合理的」決定モデルをリンドブロムは徹底的に追求している。
12 スミッシーズの主張のリンドブロムによる再定式化
- 政策決定に関連する諸要素に関する総括的監視
- 社会的な目標に関する規定の明確化
- 政策に対する手段-目的の角度からの接近
- 諸政策間の慎重かつ明確な選択
- 費用計算と極小化
- 妥協・強制・紛争よりも理性と協力
- 高度に相互依存的な政策決定のための政策決定過程の一体化
13 対するリンドブロムの「累増主義(incrementalism)」
- 代替政策の設定に当たって、現状とわずかに異なった政策で政治的関連をもつものに範囲を限定する
- 政策分析において他の代替案と異なる側面のみを対象とする
- 継続的な選択の一つとして政策の選択を考える
- 種々の社会的目的および制約条件の限界的価値に注意を集中する
- 政策の結果を別個に決定された諸目的に照らして経験的に分析するよりも、価値評価と経験的分析の絡み合いを重視する。
- 相関性のある重要な価値全体のうち少数の価値だけを重視する。