信頼論準備

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[アリソンや]リンドブロムらは、フィードバック原理を利用する組織行動の変化の幅は増分的なものであって、この増分的(incremental)ないし漸進的(piecemeal)な変化の連続がサイバネティックな行動機構の特徴をなすと考えている。スタインブルナーはこれに反対するのである。リンドブロムやアリソンは、増分的変化過程または限界的結果調整過程が、増分主義モデルないし組織過程モデルに固有のものと考える傾向があるが、たとえば合理的選択モデルないし分析的パラダイムにしたがっても、増分的決定は十分整合的に可能である。またサイバネティック・パラダイムにしたがうような状態の根本的変化がありうることは、アシュビーが示しているところである、とかれはいう。

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(3) サイモンが言及している… これらのうち最後のS・エンケは後にランド・コーポレーションで重要な地位についた人である。サイモンがランドと関係が深かったことは注意しておいてよい。ランドの意思決定論は、システム分析と費用・便益(有効度)分析によって知られているが、それはいわばランドの顕教的側面であって、サイモンや増分主義的決定戦略を説くC・E・リンドブロムの意思決定論は、ランドの密教的側面といえるであろう。

  • 小島 昭(1968)「予算過程における政治と行政」, 都市問題研究 20-4, pp68-80.

ニューヨーク市政調査会:functional budget 機能別予算
・1940年代 農務省 projectbudget 実施計画予算
・フーヴァー委員会 performance budget 事業別予算

  • 中村五郎(1968)「行政のストラテジー──C.E. Lindblom の「決定戦略論」を中心として」, 都市問題研究20-4, pp.81-93.
  • 真淵 勝(1983)「A.ウィルダフスキー予算編成論の研究 1&2」 http://htn.to/dyd74S
  • はじめに
  • 一 視座構造
  • 計算の理論
  • 予算編成改革論
  • むすびにかえて