お買いもの:飯野由里子・星加良司・西倉実季(2022)『「社会」を扱う新たなモード──「障害の社会モデル」の使い方』

合評会があると聞いて。

1/23から全五回:https://socialmodel.peatix.com/view

『「社会」を扱う新たなモード』連続読書会&学習会
この社会は偏っている!ーー差別を考えるための出発点

概要

 2022年6月に、生活書院から『「社会」を扱う新たなモードーー「障害の社会モデル」の使い方』(飯野由里子、星加良司、西倉実季著)が出版されました。
 「障害の社会モデル」は、「人々の間に機会や待遇の格差が存在するのはなぜか?」とか「特定の集団にばかり不利益が集中してしまうのはなぜか?」とかいった問いに対する答えを、私たち一人ひとりの能力の違いや努力の量にではなく、そもそもの社会の作られ方や仕組みに見出すことを助けてくれる視点です。本書の著者たちは、この視点を障害以外の領域にも広げることで、ジェンダーエスニシティ、国籍、性的指向性自認等の違いに関連して、社会の中にさまざまな形で存在している偏りや壁を発見し、解消していくプロセスに、一人でも多くの人を巻き込みたいと考えています。
 そうした取り組みのひとつとして、著者の一人でもあり、ふぇみ・ゼミ運営委員でもある飯野由里子がナビゲーターとなり、本書をテキストにした連続読書会&学習会を開催します。まだ読んでいないという人、買ったけど積読になっているという人、読み始めたけど途中で挫折してしまったという人、読んだら新たな疑問やモヤモヤが出てきたという人、ぜひご参加ください。
 多様な参加者の経験と洞察を持ち寄り、自分一人だけでは気づけない社会の偏りや壁を共有し、いま私たちが暮らしている社会の姿をクリアにしていく時間にしたいと思います。

スケジュール ※時間は毎回20:00〜21:30です

第1回(1/23) フェミニストが「社会モデル」に出会う(序章)

第1回では、ナビゲーターである飯野が「社会モデル」に出会った経緯と、なぜその時「フェミニズムにとっても重要」と感じたのかについてお話しします。「社会モデル」が重要なのはわかっているけれど、個別事例に出会った際「これも『社会モデル』でOK?」と迷いを感じでいる人にぜひ来てもらいたい回です。

第2回(1/30) マジョリティにやさしい私たちの社会(第2章)

第2回では、障害を含むマイノリティの問題について考える際「思いやりではダメ」ということはわかっているけれど、「思いやり」のどこがダメで、その代わりにどうすればよいのか悩んでいる方にオススメの回です。国連が言う「人権モデル」について知りたい方にも来ていただきたいです。

第3回(2/6)  ゲストトーク西倉実季さん 「当事者研究と『社会モデル』の近くて遠い関係」(第1章)

第3回は、共著者の西倉実季さんにお越しいただき、本書第1章「当事者研究と『社会モデル』の近くて遠い関係」の内容について解説いただきます。「個人の側でできることは個人の側で」という物言いが、実はマイノリティに対して不利に働きがちであることに警鐘を鳴らした重要な章です。

第4回(2/13) 見えない障害とカミングアウト(第5章)

第4回の「見えない障害とカミングアウト」では、とりわけ「見えない障害」を持つ人がニーズを表明した時に「疑いのまなざし」が向けられがちなのはなぜかを明らかにするとともに、ニーズを「言えなくさせている/言いにくくさせている」社会の仕組みと、それがもつ暴力性に焦点を当てます。

第5回(2/20) 対談:「マジョリティ性の壁」の正体(ゲスト:星加良司)

第5回では、共著者の星加良司さんをお招きし、対談を行います。社会に存在している偏りを生じさせていると同時に、その偏りを否定したり見えにくくさせたりする「マジョリティ性の壁」に焦点を当て、この壁を崩していくためにどうすればよいのかについてディスカッションします。

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講師プロフィール

飯野由里子(いいの ゆりこ)

ふぇみ・ゼミ運営委員。東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター教員。専門はフェミニズム・ディスアビリティ研究。主な著書に『レズビアンである〈わたしたち〉のストーリー』(生活書院、2008)、『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(共著、有斐閣、2022)などがある。

西倉実季(にしくら みき)

東京理科大学教養教育研究院准教授。専門は社会学、ライフストーリー研究。スティグマになりうる外見を持つ人たちの社会的困難に関するインタビュー調査を継続しつつ、近年は雇用場面でのルッキズムについて研究している。著書に『顔にあざのある女性たち―「問題経験の語り」の社会学』(生活書院、2009年)などがある。

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受講メモ

第一回