(20050730) 哲学/倫理学セミナー

  • 平成17年7月30日(土) 14時から16時50分まで
  • 発表:佐藤香織「歴史の持つ力」
     レヴィナスは、一貫して「歴史」という概念を否定的に扱っている。「歴史」とは「出来事を一つの体系に回収すること」を意味しており、体系に回収することの力を彼は「暴力」と呼ぶからである。ただし、彼は「歴史」を単に否定的に扱うのではなく、「歴史」の持つ力を一方で認めつつ、「歴史」に回収され得ない事柄の次元を浮き彫りにしようとする。「歴史」に回収されないものは、『全体性と無限』においては特に「内面性」および「終末論」の議論において、『存在の彼方へ』においては、「感受性」および「語ること」の議論において確保される。また、「歴史」の持つ力を認める論として、彼による「正義」の概念を検討することが必要となる。
     本発表は、「歴史」および「歴史に回収され得ないもの」の内実を明らかにし、一方で「歴史に回収されえないもの」の様々な位相どうしが「歴史」の次元を通じて関連していることを明らかにすること、しかし他方で、「歴史」が「暴力」でありながらも人間にとって必要であることを認めつつ、「歴史」と相関的に語ることのできない「歴史に回収されえないもの」の次元を確保する方法および意義を検討することを目的とする。

詳細はこちら参照:http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/

  • via 荒谷さん