Academic Insights #3:「企業者的想像力」からアントレプレナーシップを再考する──経営学者 山縣正幸

2024年9月24日(火) 20:00〜21:30@Zoomウェビナー

人文・社会科学領域における「概念」や「アイデア」をよすがに、気鋭の研究者とともに、いま私たちが生きている時代あるいは社会がこれから直面する課題を読み解いていくレクチャーシリーズ「Academic Insights」。気鋭の人文・社会科学領域の研究者に、いまの時代を読み解くカギとなる「概念」や「アイデア」を提示していただき、来たるべき社会の探索と構想のヒントを探究します。
第3回に登壇するのは、感性的/審美的な視点からアントレプレナーシップを再考することに取り組んでいる、経営学者の山縣正幸さんです。
2010年代以降、日本においてもシリコンバレーの余波を受けながら、第4次ベンチャーブームが到来。政策や教育においてもスタートアップの振興・育成が重要アジェンダになり、さまざまなシーンで「アントレプレナーシップ」の重要性が叫ばれるようになりました。
他方で、アントレプレナーシップの条件や構成要素に関する議論に関しては、まだまだこれからという面もあります。
そんな中で、感性的/審美的な視点からアントレプレナーシップを捉える際に手がかりとなるのが「企業者的想像力」という概念です。
9/17に本ニュースレターで配信予定の寄稿記事では、山縣さんは「企業者的想像力」についてこう論じてくれました(強調:編集部)。

(……)経済のみならず、社会に変化をもたらし、ダイナミズムを惹き起こすところに、アントレプレナーシップ/アントレプレナーの最大の特徴があります。
 このダイナミズムを惹き起こすはたらきを考えるとき、一つの手がかりになるのが「企業者的想像力 Entrepreneurial Imagination」という概念です
将来の不確実性つまり完全な予測が不可能な状況のもとで、他の誰かの欲望や期待を充たす=他の誰かに価値をもたらす効用(具体的には、モノやコトといった状態で提供されます)を創出・提供し、その対価として経済的成果を獲得するという一連の営み ——これを私は価値創造と呼んでいます—— を駆動していく“衝動”)(impulse)、それがアントレプレナーシップなのです。その枠(scheme)を描き出していくのが、企業者的想像力であるわけです

そもそも「企業者的想像力」とは何なのか? 「企業者的想像力」というレンズから見えてくる現代の展望とは? ──「企業者的想像力」という概念、そしてその現代的意義や可能性について、本イベントでは、山縣さんより直接レクチャーいただきます。
これまで光を当てられてこなかった、アントレプレナーシップの感性的/審美的側面について、これから議論を深めていくためのレンズを共有していくような時間にできればと思っておりますので、ぜひふるってご参加ください。

https://desilo.substack.com/p/924-academic-insights-3

(9/21)マシュー・スチュワート『マネジメント神話』合評会

私が世話人を務める著しく多数の読書会すべての中で群を抜いて最も人気のない日米経営学史茶話会の主催にて下記合評会を開催します。

マシュー・スチュワート『マネジメント神話』合評会

いただきもの:松沢裕作(2024)『歴史学はこう考える』

ありがとうございます&刊行おめでとうございます。
進捗報告互助会の成果物ですので、わたくしのあとがきだけ登場人生にまた新たな1ページが加わりました。この先数十年にわたって読みつがれていくだろう名著になったと思います。
進捗報告互助会のページは改造し、著者による著作解説(書き下ろし)を掲載しています。こちらも御覧くださいね。


さて。
いただいておいて文句をいうのもあれなんですが...。

  • 刊行後に献本が届くの私の見聞の範囲では前代未聞なんですが、これは新書部門のエネルギーが人類5000年史にすべて吸い取られた結果と解してよろしいか。
  • 本書のタイトルを『歴史学はこう考える』にしてしまった責任者には猛省を促したい。本書は「何を考えているか」ではなくて、「何をしているか」を書いた本です。「考えてる」程度のことであれば誰でも書けるじゃないの。難しいのは「実際どうしているか」を書くことであり、それをやったからこの本は奇書なのよ。それを潰すようなタイトルを自分でつけてどうすんの。
  • 帯の「解像度があがる」も気に食わないです。「解像度」は、他の何かとトレードオフがあるときに使ってほしい。

爆発的に売れまくった挙げ句にタイトルを変えて速やかにちくま文庫に入れ直していただく未来がはやくやってきますように(祈

催事告知:読むことの共同的訓練に資する指導者なし読書会をいかに組織・運営するか

(2024年9月)催事告知:読むことの共同的訓練に資する指導者なし読書会をいかに組織・運営するか

コロナで始まりカツカレーで終わった哲学オンラインセミナーがいよいよ活動を停止するそうです。
これからしばらくの間解散イベントが続くのですが、そのうちの一つにわたくしも登壇します。

 
まだ告知は出ていませんが概要はこんな感じです:

  • 仮タイトル:読むことの共同的訓練に資する 非専門家の読書会をいかに組織・運営するか
  • 開催日時:9/14、14時〜
  • 登壇者:酒井泰斗+稲岡大志(ライプニッツ研究)
  • 無料、事前申し込み制

内容としては、

  • A. 会の趣旨(研究活動に従事しておらず・指向してもいない人たちの集まりにおいて、共同で読むトレーニングをおこなう)
  • B. 趣旨を実現するためのトレーニングメニューの導出
  • C. トレーニング実施事例
  • D. 会の運営への哲学研究者の助力

といったあたりを紹介するものとなるかと思います。
 質疑応答時間には、フロアからいただいた質問に対して当会のコメントフォーマットを使って回答することで、会の雰囲気をお伝えできればと考えています。

イベントリスト

なお、哲学オンラインセミナー終会へ向けた一連のイベントは以下のとおりです。

  • オルタナティヴコミュニティはどこから来てどこへ行くのか
    • mm/dd オルタナティヴ・コミュニティの会
    • 09/01 哲学オンラインセミナーとは何であったか
  • 読書会の会
    • 07/25 読書会術大図鑑〜参加者にフィットする読書会とは〜
    • 08/04 ホワイトヘッド素人読書会
    • 08/10 翻訳をつくる読書会:マルブランシュ『真理の探究』をつうじて
    • 08/13 Charles Taylor, Language Animal読書会
    • 08/18 ドゥンス・スコトゥス読書会
    • 09/08 シェリング『超越論的観念論の体系』読書会
    • 09/14 非哲学者による非哲学者のための哲学入門読書会

第30回日米経営学史茶話会:中北浩爾(2008)『日本労働政治の国際関係史:1945-1964』第01回

私が世話人を務める著しく多数の読書会すべての中で最も人気のない日米経営学史茶話会の次回例会は 9/11 夜に開催します。
次回から新しい書籍に入ります。お申し込みはこちらから:https://bit.ly/iSociology

第30回 日米経営学史茶話会

いただきもの:『現代思想』52-12(特集:読むことの現在)

どうもありがとうございます。

荒畑靖宏(2009)「脱自としての心的生──ハイデガーとマクダウェルの「特異」な外在主義」

通勤読書。
存在と時間』読書会におけるご教示による。

はじめに

I

II

III

IV

V