酒井泰斗+吉川浩満「非哲学者による非哲学者のための(非)哲学の講義」

2021年4月から朝日カルチャーセンター新宿にて毎月第四水曜日に開講します。オフライン・オンライン併用になる見込みです。受講生募集は2月下旬から。

講義案内

 朝日カルチャーセンターでは一線の哲学研究者たちによるバラエティに富んだ多数の哲学講義が開催されていますが、本講座は、それらとはまったく異なる性格を持っています。本講座は、哲学に関心のある非専門家たちが集まって、非専門家である講師二人とともに、哲学との「大人のつきあい方」について相談しあうための互助会であることを目指しているからです。
 今シーズンからは、過去の講座で要望の多かった文献講読講義を、自己啓発書の古典を使って開始します。課題は二つ:手続きを踏んで形式的にテクストを読む訓練と、私たち自身の通俗性について反省的に検討することです。
自己啓発は、哲学のライバルプログラムとしてすでに私たちの思考に深く大きな影響を与えていますが、それだけでなく私たちが帯びざるを得ない通俗性を反映してもいます。これから1〜2年ほどの時間をかけて、自己啓発の一つの起源だと言われる「ニューソート」へと歴史をたどり・調べながら、私たち自身の通俗性について考えてみたいと思います。その作業は、自己啓発書の愛好者にも嫌悪者にも無関心な人にも、そしてなにより、哲学とのつきあい方に苦慮している人たちにとって 有意義なもの──「自分自身を知ること」に関わるもの──になるはずです。
 なお、以上のような趣旨ですので、本講座の受講にあたっては哲学に関する特別な知識も過去の講座の受講経験もまったく必要ありません。(講師記)

講読書の候補

  • エマーソン(1841)『自己信頼』
  • マーデン(1894)『前進あるのみ』
  • マルフォード(1889)『精神力』
  • トライン(1897)『無限者に調子を合わせて(人生の扉をひらく万能の鍵)』
  • アレン(1902)『原因と結果の法則』
  • アトキンソン(1906)『引き寄せの法則
  • ワトルズ(1910)『富を引き寄せる科学的法則』
  • カーネギー(1936)『人を動かす』
  • ヒル(1937)『思考は現実化する』
  • ピール(1952)『積極的考え方の力』
  • マルツ(1960)『自分を動かす』
  • マーフィ(1963)『眠りながら成功する』

お買いもの:ミゲル・シカール『プレイ・マターズ:遊び心の哲学』

読書会があると聞いて。

プレイ・マターズ 遊び心の哲学 (Playful Thinking)

プレイ・マターズ 遊び心の哲学 (Playful Thinking)

お買いもの:木下 順(2000)『アメリカ技能養成と労資関係:メカニックからマンパワーへ』

総特集:自己啓発
パートのお仕事と朝カル「哲学講義」用。



  • はしがき
  • 本書の課題と構成

1 メカニック教育

2 工学教育

  • メンデンホール改革
  • テイラーと工学教育
  • 「マン・パワー」の発生

3 職業教育運動

  • 機械工国際組合の攻勢
  • ダグラス委員会
  • フィッチバーグ・プラン
  • 公立トレイド・スクール
  • 産業教育促進全国協会
  • 終章 総括と展望章
  • あとがき

お買いもの:古田徹也(2020)『はじめてのウィトゲンシュタイン』

読書会があると聞いて。

増田泰子(2000)「高度経済成長期における「自己啓発」概念の成立」

本日もひとさまのおかげで論文が読めまする。

 本論文は企業の内部における霰業能力の評価制度と能力開発の関連について、戦後の日本企業の中で査定を通じた労務管理システムと教育訓練とが結びついていく過程を明らかにしようとするものである。このため1970年代以降の企業内教育の中で重要視されてきた「自己啓発」という語に注目し、この語によって表わされる一連の行為や規範を「自己啓発」概念として、その成立過程を1960年代の企業経営者および管理者の意思決定の経緯に沿って分析した。
 「自己啓発」概念は高度成長期の労働力の変化に対応しようとする中で、賃金体系を柔飲な連用が可能な「職務遂行能力」に基づくものに改める過程で成立した。それは潜在能力の発見-能力の開発-業績としての能力の発揮という「プロセスとしての能力」を前提としており、教育訓練を賃金や昇追と結びついた労務管理システムの中に組み込んでいき、70年代以降の「日本的経営」の中で機能してきたのである。
キーワード:企業内教育、労務音理、仕耳競争モデル、内部労働市場、日本的経営

  • 1. 企業内教育における「業務遂行能力」の問題
  • 2. 企業内教育の歴史と「自己啓発」概念
    • 2-1. 企業内教育の構造変化の時期
    • 2-2. 「自己啓発」概念の仮定
    • 2-3. 経営者と銀行における「自己啓発
  • 3. 経済変動と労働力需給の変化の時代に
  • 4. 労務管理の模索と「自己啓発」概念の成立
    • 4-1. 「ミドル・マネジメントの役割
    • 4-2. 雑誌「経営者」における教育訓練記事の変化
  • 5. システムの中の教育〜今後の課題

借りもの:西田天香(1921)『懺悔の生活』

3/2まで。

借りもの:生長の家本部編纂(1980)『生長の家五十年史』

4/10 まで。