村上先生@法制史学会(4月24日)

(タレコミ謝々>yutacakeさん)

11:00〜12:00:ニクラス・ルーマン歴史観 村上淳一桐蔭横浜大学
 ドイツの社会学ニクラス・ルーマン社会学的業績は、日本でもしばしば紹介されており、主要な著書の邦訳も次々と刊行されている。しかし、歴史に関するルーマンの業績、ことに論集「社会構造と意味論」全四巻に収められた本格的な「歴史的意味論」研究と、そこから窺えるかれの歴史理解は、まだ不十分にしか紹介されていない。そのためもあって、ルーマンの論敵ハーバマースの「公共性」論が日本の歴史学者の関心を集めたのに対して、ルーマンによる歴史研究は、ほとんど日本の歴史学界の顧みるところではなかったと思われる。しかし、歴史の研究と教育が、意識すると否とを問わず何らかの歴史観を背景とすることを免れない以上、説得力のある複数の歴史観の競合は、研究者の視野拡大に資するものと期待される。それはまた、歴史に対する学生の興味を刺激するためにも望ましいことであろう。この報告では、「社会構造と意味論」第四巻(1995年)に収められた「野蛮の彼方」を手がかりとして、ルーマン歴史観を探ろうと試みる。