涜書:シュルテ『ルーマン理論──なにが問題なのか』

とどいた。
帰宅時間をつかって第1部を読了。あと2部と3部をぱらぱら。

ルーマン・システム理論 何が問題なのか―システム理性批判

ルーマン・システム理論 何が問題なのか―システム理性批判

  • 序言
第1部 盲目飛行
  • 第1章 実在性テスト
  • 第2章 マリオットの実験
  • 第3章 脳の働き
  • 第4章 認識論的オディッセイ
  • 第5章 悪魔的コミュニケーション
第2部 世界の毀損
  • 第6章 生まれ変わりのサイバネティクス
  • 第7章 毀損の論理
  • 第8章 神の証明
  • 第9章 パラドクスの論理
  • 第10章 エピメニデス
第3章 悪しき視線
  • 第11章 大王ねずみ
  • 第12章 沐浴するバテシバ
  • 第13章 オイディプス
  • 第14章 ゴルゴン
  • 第15章 悪魔(Teufel)


第1部は盲点という どうでもいい論点について、
第2部はルーマン理論におけるブラウン代数の意義という どうでもいい論点について、
第3部はルーマン理論の神学的含意(?)というこれまたどうでもいい論点について、
それぞれ論じています。


どうでもいい論点に無駄に分厚いスペキュレーションをひたすら積み上げていく著者の熱意と体力には ただただ圧倒されるばかりです。
そしてこんなときにいつも私はこう思わずにはいられません ──社会って複雑だな、と。(倒置法

そしてひとはみな、この複雑性と なんとか折り合って生きていかねばなりません。──と考えると、生きていくのがまたひとつ辛くなった気がいたします。


いずれにしても、お好きな人はどうぞと言うしかないタグイの本ではあろうかと思います。
ただし、見方を変えれば。
要するにこれ、

  • ルーマンのダメなところ(自己言及だの盲点だのパラドクスだのに無駄にこだわって思弁を垂れ流すところとか)を一気にあつめて、首尾一貫した偏見のもとで解釈してみました

という本なので、そういういみでは、「ルーマンのこういうところがダメなんだな」ということがよくわかって、その意味で役に立つとはいえるかもしれません。しかし何の。