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第3章「信頼の測定」
4.「信頼行動の測定」
しかし囚人のジレンマの協力行動を純粋な信頼行動とみなすことには問題がある。なぜなら、囚人のジレンマで協力を選ぼうとするとき、その人には協力の意図(自身の信頼性)があると考えられるが、実際に「協力」を選ぶためには「相手も協力してくれるという期待(相手への信頼)」が必要である。反対に「非協力」を選ぶ理由として、「自分は相互協力を望んでいる(自身の信頼性)が、相手が協力してくれないかもしれない」という「搾取への恐れ」(信頼感の欠如)が考えられる。しかしそればかりでなく、「可能であれば相手から搾取しようとする意図」(自身の信頼性の欠如)も想定できる。このため、囚人のジレンマ状況では、行動選択に信頼感と信頼性が分離されない形で存在しているため、現在では信頼の測定に囚人のジレンマが用いられることは稀である。[51-52]
注12)囚人のジレンマを改良し、信頼感と信頼性を分離しようとする試み(垣内・山岸 1997)があるが、ここで述べたような測定上の問題は、本質的に回避できていない。
信頼感と信頼性の双方を測定できないと信頼の測定にはならないよ、ということかな。