つい先日、某哲学科院生(ウィトゲンシュタイニアン見習い)向けに「EMへの入門最初の一歩」を踏み出すためのリストを作成したので、ついでに こちらにも載せておきます。
なお、紹介文中に何度もウィトゲンシュタインの名前が出てくるのは、宛先がウィトゲンシュタイにゃんだったから。
【A】概観&入門書・教科書
- なにはともあれ、エスノメソドロジーの概観は必要かと思います。哲学専攻のかたに──短いということも含め──いちばんアクセスしやすいのは 哲学者の手による紹介[0b]でしょう。これは、EM の重鎮、[4]の著者でもあるマイケル・リンチ(前 Society for the Social Studies of Science 会長)の仕事を紹介したものです。
- 教科書としては、私たちがつくった[0a]を。こちらに内容紹介があります:
[0a] | [0b] |
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【B】研究書
- 日本での この分野における記念碑的な著作 が[1a]です。これは 何度も繰り返し読む価値があります。ジャーゴンを──「エスノメソドロジー」や「論理文法分析・概念分析」といった言葉すら──なるべく使わずに、現象に即した分析が行われています。さらに分析を見たい時は、豊富な例が[1b][1c]で与えられていますが、
- 2008年に、上掲書編者でもある前田さんが単著[2]を出したので、こちらも見て下さい。「痛み」の文法など、ストレートにウィトゲンシュタイン的なトピックが、病院における診察場面の分析などを通じて議論されています。
この本は また、さらに最近の文献を知りたい時のリファレンスとしても役立ちます。
[1a] | [1b] | [1c] | [2] |
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【C】「古典」的文献
- [3][4]は この分野における現代の古典です。
- [3]では心理学や精神疾患などをめぐって登場する さまざまなカテゴリーが、
- [4]では科学社会学を例に 知識社会学のプロジェクトが、
それぞれウィトゲンシュタイン的観点から再検討されています(後者は ただいま翻訳進行中*)。なお、[4a]が[0b]の紹介対象です。
[3] | [4a] | [4b] |
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心の社会的構成―ヴィトゲンシュタイン派エスノメソドロジーの視点
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Scientific Practice Ordinary Action
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* その後2012年に(ようやく)邦訳が刊行されました[4b]。
【D】その他
- 最後に、もう一つ私たちが作った本を。
【A】〜【C】を踏まえた上で、さらに経験的研究を先に進めようとして作ったのが[5a]の論文集です*。こちらに内容紹介があります:
* その後パート2を刊行しました[5b]:
[5a] | [5b] |
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【A】〜【C】は、ウィトゲンシュタインの読解を進めるために、さらには ウィトゲンシュタイン哲学の意義を考える際にも、参考にしていただけるのではないかと思います。
[5]は、さらに余裕があればぜひ。というところ。