借りもの:オルト(1999→2000)『フッサール〈危機〉書の研究』/マンフォード&アンユム『因果性』

『権力』講義用。

フッサール「危機」書の研究 (西洋思想叢書)

フッサール「危機」書の研究 (西洋思想叢書)

哲学がわかる 因果性 (A VERY SHORT INTRODUCTION)

哲学がわかる 因果性 (A VERY SHORT INTRODUCTION)

  • 序文
  • 序論
  • 第1章 想像の書
    • 『危機』書は未完断片かライフワークの概要的完結か
    • 文化危機から科学危機にわたる、もしくは生世界から科学的心理学にわたる主題設定
    • 理性的な自己定位と世界定位の批判的構造史という課題の精確化
    • 入門の問題化としての〈入門〉
    • 学問的哲学における、哲学的問題としての文学的なものの役割
    • 『危機』書の意義空間とほかのフッサールのテクストへのその関係
  • 第2章 見果てられた夢の伝説──厳密額から世界観にわたる危機意識
    • 〈見果てられた夢〉の常套句
    • 文化現象としての科学と哲学
    • 厳密学とは何か
    • 学問史についての初期フッサールのテクスト
    • 学問性の文化史的事実の志向的分析的考察
    • フッサールの思索の文脈としての近代の危機の雰囲気
    • 学内部の構造事態としての危機問題──いわゆる文化危機の此岸
    • 世界観としての学問性、志向的生自身の中の危機
  • 第3章 時間性から歴史性にわたる志向性、『危機』論文における還元と還元主義
  • 第4章 学の意味基底としての生世界と文化の基本的範型としての生世界
  • 第5章 ヨーロッパの危機としての超越論的なものの危機、証人としての主観
  • 総括
  • はじめに
  • 第1章 問題──因果性のどこが難しいのか
  • 第2章 規則性──結びつきのない因果性はあるか
  • 第3章 時間と空間──原因は結果よりも前に起こるか
  • 第4章 必然性──原因はその結果を保証するか
  • 第5章 判事実条件的依存性──原因は違いを生じさせるか
  • 第6章 物理主義──すべては伝達に尽きるのか
  • 第7章 多元主義──異なる多くの因果性があるのか
  • 第8章 原初主義──因果性は最も基礎的か
  • 第9章 傾向性主義──何が傾向を持つのか
  • 第10章 原因を見つける──それはどこにあるのか
  • 一言だけのあとがき
  • 解説(谷川 卓)
  • 日本の読者のための読書案内(谷川 卓・塩野直之)
  • 読書案内

メモ

オルト『フッサール〈危機〉書の研究』

20 三つの危機:

  • 1. 主観性の危機、──その自己理解と世界理解を含む──主観性の謎でもある。
  • 2. 主観的能作から生まれる合理化の企画の──その限界と可能性、その成功したり失敗したりする意味の──表白としての哲学と科学の危機。
  • 3. 具体的な〈人間の世界〉としての文化の危機、この世界では理性的な主観性は確証されたり挫折したりする。

これには、これら三つの危機が結びついていて、その連関が次の二つの観点で理解可能にさせられうる、というテーゼが属している。

  • a) (生き生きとして具体的に主観的な定位の実践としての)生世界の分析によって、
  • b) (哲学と科学としての)定位の過程の、主観性そのものである過程の、歴史的発生的構造の把握によって。