序論「行為とシステム」

  • Niklas Luhmann, Einführung: Handlung und System, in: Zweckbegriff und Systemrationalität: Über die Funktion von Zwecken in sozialen Systemen, J. C. B. Mohr, 1968; neu gedruckt Suhrkamp, 1973, pp. 7-17

[本書の構成]

  • まず第一章は、個別行為の水準での行為解釈が主題である。行為とは何らかの結果を引き起こす原因であるという解釈と、その解釈に基づいて、行為を目的合理的に制御するという発想が、どれほどの影響力をもってきたのかを確認する。それによって、批判対象の輪郭がはっきりしたところで、
  • 第二章では、古典的組織論で目的概念がどう扱われてきたかを確認し、
  • 第三章では、その克服をめざす様々なアプローチのうち、最も重要なものをいくつかとりあげる。この作業をとおして、目的設定をシステム理論のなかで扱うべきだという理由が、十分に諒解されるだろう。
    • 他方で、基本的な考え方は確立していても、それに見合う理論がきちんと完成していないのも事実である。そこで、以上の議論を批判対象の紹介とみなすなら、ここまでは序盤であって、ここからが本番だ。
  • 続く二つの章では、目的思想を行為理論からシステム理論へと移行する作業にとりかかる。
    • なかでも、第四章は本書で最も重要な章である。この章では、社会的システム、その特殊事例としての組織において、目的指向というものが、
      • どんな機能を担っているのか、
      • 目的指向がその機能を担うために、システムの環境においてはどのような前提条件が必要なのか、
      • 目的指向が引き起こす派生問題にはどんなものがあるのか、
      • 目的指向を代替するような他の選択肢には何があるのか、といったことを、細かく論じていくことになる。
    • 最後に、第五章では、そこまでで得られた知見を補強するために、組織が目的プログラムを備えた場合に生じる問題をいくつか扱うことにする。