03 複雑性とシステム分化

  • 考察の第1の道筋: 複雑性(=選択の強制): 〈要素/関係〉 ──〈体験/行為〉と意味
  • 考察の第2の道筋: システム分化 ──環節分化/階層分化/機能分化

以下、後者について。

  • p.21 このような[全体]社会内のシステム/環境-関係の構成転換に続いて、ゼマンティク-欲求にとっての初期状態に影響をおよぼす、さらなる構造的変化をたどることができる。
    この点については、3側面にわけて考えるべき: 1) 下位システム間の関係、2) 社会と心的システムとの関係、3) 全体社会システムと環境との関係
    • p.22 1) 社会諸システム間の関係: 〈全体社会システム-下位システム関係/下位システム間関係〉──機能、作用、反省
    • p.23 2) 社会と心的システムとの関係: 家族|階層内婚姻(→身分)|複数の機能システムへの包摂(=包摂原理)
      • p. 24 〜ゼマンティク: 「人間の自然的平等」(トマジウス)、自由、平等、個人、プライバシー、自律… 〈古い/新しい〉、自然、完成
    • p.25 3) 全体社会システムと環境との関係:
      【引用p.25】
      本書のテーゼは、それ[個々の機能システムに固有のゼマンティク──ex. 政治概念、経済概念、付随的なゼマンティク装置──の転換]をはるかに超えるものである。本書のテーゼは、
      • 新しい分化原理が古い概念の一定の変形を引き起こし、いわば概念を説得力のあるものにしなおし、それによって新しい秩序に適合させる
      ということだけを主張しているのではない。また、新しい秩序は、自己をよい秩序と考えられなければならないし、おそらく自己批判をさえぎって自己を実現できなければならないだろう。これらすべてを前提にすると想定された分化形態と複雑性の連関から、文化のゼマンティク装置の全面転換というはるかに射程の大きなテーゼが出てくる。[p. 25]
  • p.26 章全体への補足

【引用p.26】

 こうした全面転換という仮説への拡大は、本書の分析のシステム論上の基礎から必然的に生じる。つまり、

  • システム分化をシステム内でのシステム/環境-差異の反復として捉え、
  • 複雑性を選択の強制として捉え、

両者をたがいに関係付けることから生じる。社会構造とゼマンティクの伝統の連関について問うのであれば、この連関から再び出発しなければならない。[p. 26]

ゼマンティク複雑性──〈要素/関係〉
分化──〈システム/環境〉

【引用p.27】

 しかし、この図はまだあまりに単純化しすぎている。なぜなら、特殊なゼマンティク的相関物を隠しているからである。そのような相関物は、(複雑性水準だけでなく)社会構成の個別的特徴もゼマンティクに影響するところから生じる──

  • たとえば要素がもはや人格ではなく行為として捉えられなければならない場合
  • あるいは分化形態そのものがテーマになる場合

がそうである。社会構造とゼマンティクのあいだの個別的諸関係全体的諸関係は、並行して進行し、たがいに影響しあう。だから、

  • 分化形態は、一部は直接的に一部は間接的に全体社会システムの複雑性水準に媒介されて、ゼマンティク上の相関物を生み出す

というところから出発しなければならない。そうなると理論形成は、より精密な仮説を定式化するという点ですでに困難になり、いわんや経験的検証を行うという点で困難になる。[p.27]