- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5. スタイル
- 6. 美術館と古典
- 7. セカンドオーダーの同定:メディアの不変・不可視性と形式の可変・可視性
- 8. 芸術システムのセカンド・オーダーの分出
第5段落:スタイル
p. 216
多くの芸術作品が共通に有しているものの変化を観察するために、18世紀最後の30年以降用いられるようになったのが、スタイルという(歴史化された)概念である67。
… 相異なるものが、芸術作品の制作様式における《……に対して》が、新奇さの圧力を受けるようになる。
- 個々の芸術作品それぞれが他から区別されねばならないというだけではない。その作品を含む、相互に区別されえない一群よりなる領域が、比較されうる他の領域から区別されねばならない。スタイルの概念によって称揚されているのはまさにこのことなのである。
- 今やスタイルということから、次の点も予期されるようになる。スタイルは自分自身に規則を与える。つまり所与の挌率に従うのではなく、優勢になっているものとは異なるということによって自身を際立たせるのである。またスタイルはある芸術作品への関心が衰えた後も存在し続ける。…
- これこそ典型的な回帰的再構成の手続きなのである!
第6段落:美術館と古典
同時に[スタイルとは]反対の傾向も存在する。守る価値のあるものを保持しよう──逸脱のためにも、いやむしろ逸脱のためにこそ、と。これは客体を美術館に収蔵することによって生じる。あるいはテキスト芸術や音楽のようにそれが不可能な場合には、《時代を超えた=無時間的な zeitlos》古典を同定することによって生じるのである70。
…
- [美術館の]この決定は観察者による観察する。つまりそれはセカンド・オーダーの観察のレヴェルに属しているのである。
- 古典もやはり観察者による観察のための構築物である。
第7段落:セカンドオーダーの同定: - メディアの不変・不可視性と形式の可変・可視性
第8段落:芸術システムのセカンド・オーダーの分出
18世紀末に登場した二次の観察としての美術館・古典・スタイル。そして文化。
p.218
確かにはるか以前から芸術収集というものがあったし、好まれる著者や作曲家も存在した。しかし美術館や古典という保存形式は、芸術システムをセカンド・オーダーの観察のレベルにおいて実現することを前提とする。それゆえに、美術館や古典という達成物が登場したのは18世紀最後の10年においてであり、それはスタイル概念が歴史化されるのと同時期であったのを、偶然だと考えるわけにはいかないだろう。それは芸術システムの分出がセカンドオーダーの観察のレベルに達し、そこに定着しつつ新たに生じてきた問題を解決していった時期なのである。ここに至って初めて、知覚メディアは多様であり、それらのうちで主要な形式が実現されていくという点を無視して、あらゆる美的芸術の統一性についての問いが発せられるようになるのである。いまや初めて芸術が、それがどんな種類のものであろうと、時間に結び付けられ同時に歴史的に定義されるに至る。そしてそれはまた文化という反省概念が導入された時期でもあった。すなわちこの時期において歴史的および地域的(《国民的》)比較という文脈における文化が、自己評価のために投入されたのである。しかしこのレヴェルにおいて観察の戯れが演じられたのであれば、そこにおいて十分な規則と十分な自己確証が見出されるはずである。とりあえず方向付けのための知としてはそれで十分だろう。より分解力のある《分析的》概念はまだ与えられていなかった。それが与えられれば、区別を用いるあらゆる作業の根底に横たわるパラドックスへと至ることになったはずである。
各章分布
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | note | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
美術館 | 031 | 114, 217-219 | 233, 257 | 346 | 400 | 405, 498, 505 | 527(42), 567(73), 576(52), 624(73) | |
古典 | 013, 057, 071 | 102, 132 | 217-218 | 233, 248, 268, 285, 288, 293, 297 | 310, 311, 332, 337, 339 | 366, 386, 387, 396-397, 400 | 410, 454, 456, 484, 501 | 540(5), 555(4), 574(43), 585(126), 600(64), 620(47), 633(140) |
スタイル | 026, 033 | 144-145 | 202, 216-218 | 240, 269, 276, 304, 305 | 313, 332, 340, 345-349 | 364, 366, 369, 380, 381-382, 386, 387, 393, 397-398 | 406, 416, 437, 440, 442, 445, 454, 473, 479, 486, 489, 491, 493, 499, 500, 513 | 531(65), 552(80), 562(40), 566(68), 587(137), 589(148), 600(64), 602(12), 603(20), 612-613(78) |
文化 | 002, 021, 024 | 091, 144 | 182, 219 | 235, 266, 274, 275, 281, 282 | 310 | 351-352, 353, 354, 357, 373, 374, 391 | 409, 418, 433, 459, 462, 543 | 552(76), 579(77), 595(31), 611(72), 632(134), 637(170) |