中島道男(2001)『エミール・デュルケム』

  • はじめに
  • 第1章 デュルケムの生涯と著作
    • 1 デュルケムの生涯と著作
    • 2 デュルケム・ルネサンス
  • 第2章 社会概念の展開
    • 1 社会的事実の客観的実在性
    • 2 認識論的障害物
      • 1 単純な合理主義と原子論的社会観
      • 2 自然と人間との二元論
    • 3 社会的連帯
      • 1 道徳の問題としての分業
      • 2 外部標識としての法
      • 3 機械的連帯と有機的連帯
      • 4 契約における非契約的要素
      • 5 なぜ機械的連帯-有機的連帯の二分法はその後もちいられなくなったのか
      • 6 集合的意識と集合表象
      • 7 犯罪・刑罰論
    • 4 社会の魂
      • 1 個人主義評価の修正
      • 2 自殺の類型論
      • 3 道徳論
      • 4 社会の理想
      • 5 宗教への発生論的な視点
      • 6 宗教の定義
      • 7 神は社会である
      • 8 集合的沸騰
      • 9 消極的儀礼と積極的儀礼
      • 10 供犠的儀礼
      • 11 模擬的儀礼
      • 12 社会は宗教的現象である
      • 13 カテゴリー論
  • 第3章 現代社会の診断
  • 第4章 デュルケムの現代性
    • 1 公共哲学としての社会科学
    • 2 デュルケムと現代
  • 付録
    • デュルケム主要著作
    • 読書案内
    • 引用・参考文献
    • デュルケム略年譜

自殺には「エゴイズム」型と「アノミー」型があるよ。

[32] 社会が急激に反映するとき、今まで欲求にかけられていた重しがはずされ、無限の可能性が開けたように思われてくる。しかし、その欲求に適合した手段がないから、欲求不満だけが蓄積する。そして、ついには生への意欲も衰えてしまう。商工業の世界は、まさにこのアノミーの慢性状態ではないか。これが、自殺の急増のもう一つの原因となっている。