ルーマン『福祉国家における政治理論』

朝食。おうちにある本を読むよシリーズ。

福祉国家における政治理論

福祉国家における政治理論

著作の主題は――「政治学理論」ではなく――「政治理論」。でも、その区別は やっぱり明確にはされていない。

政治的コミュニケーションにおけるフォークセオリーにして自己再定式化である「政治理論」を扱うには、政治的コミュニケーションが特定できるのでなければならない――そしてそれこそが社会システム論が己のものとして掲げた課題=看板である――のに、まさにそれができていない、ということ。



本書の考察は、福祉国家 のための 政治理論を探求する。そのさい問題となるのは、科学的基準から見て適切な 福祉国家 についての 理論だけではない。むしろ福祉国家のための政治理論は、ほんらい政治システムのなかで調達されるべき反省作用を提供するためにも もちいることができる。そのような反省を行うかぎりにおいて、その理論は福祉国家 における 政治理論である。それによって、異なる社会システム、異なる基準、異なる責任という意味での、科学と政治の厳密な分離が問題になるわけではない。しかし前提となるのは、それにもかかわらずコミュニケーションは可能であり続ける、ということである。 [p.5]