第2章 計算

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冒頭からサイモンの参照とともに「複雑性」が登場するが、残念ながら、著者が「複雑性」をどのようなものであると考えているのか、一切解説がない。

  • 複雑性
  • 計算に対する補助手段
    • 予算編成は経験的なものである
    • 予算編成は単純化される
    • 予算編成担当官は《満足させれば十分》
    • 予算は漸変的である
  • 公正な配分と実績
  • 行政庁──その役割と展望
  • 要求額の決定
  • 支出額の決定
  • 省対局
  • 予算局──その役割と展望
  • 要請額の決定
  • 歳出予算委員会──その役割と展望
  • 授権額の決定──歳出予算委員会
    • 予算編成は専門化しつつある
    • 予算編成は沿革的なものである
    • 予算編成は断片化されている
    • 予算編成は、事業計画と無関係なもののように処理される
    • 予算編成は反復的である
    • 予算編成は継起的である
  • 要約

抜き書き

  • 10「≪計算≫という言葉を、筆者は、競合する代替案の選択を決定するにあたって参加者たちが考慮に入れる一連の関連のある諸事実(…)という意味に解する。計算には、
    • 問題が如何にして発生するか
    • いかにして問題が問題として識別されるか、それが
    • いかにして処理の可能な次元におろされるか
    • それらがいかに相互に関連し合っているか
    • 関連し合っている問題についていかにして決定が下されるのか
    • ほかの参加者の行動に対してどのように配慮が払われるのか
      といったことについての研究が含まれる。
  • そして、複雑性というこれまでにほとんど無視されてきた問題に特別な注意が払われる。というのは、もし予算編成の参加者たちが分有しているものがあるとすれば、彼らが取り組んでいる事業計画や過程の極度な複雑性に対する関心である。
  • われわれは、複雑性の問題と、計算補助手段の使用(ある人は濫用というであろう)による問題の≪解決≫について説明することからはじめよう。
  • つぎに、我々は、計算に関する諸問題を、それらが、三つの主要な制度上の決定、すなわち、[1] どれだけ要求するかという決定(行政庁)、[2] どれだけ勧告するかという決定(予算局)、[3] どれだけ与えるかという決定(歳出予算委員会)にかかわるものとして取り扱う。
    • これらの決定についての論議は、まずはじめに、主な制度上の参加者にとって利用可能な役割と見通しについて述べることからはじめられる。この方法で、われわれは参加者たちの諸目標に到達することができる。そして彼らの計算(後には戦略)が、彼らの引き受ける役割、ほかの参加者たちの役割と能力についての彼らの認識によって いかに左右されるかということを考察する。

2-12「要約」

  • 予算編成は、沿革的な基礎から出発して、公正な配分という承認された観念に導かれる漸変的な過程である。
  • その過程において、政策決定は断片化され、専門分化した機関によって継起的に行われ、そして、問題に対する反復的攻撃や多様なフィードバック・メカニズムを通じて調整される。
  • 参加者の役割、および、お互いの勢力や要求に対する彼らの容認は、一つに調和し合って、計算の基礎となるような合理的で安定性のある一組の基準を与える。