新年会用。エスノメソドロジーに対するよくある批判症例集。id:contractio:20110109
ディスタンクシオン <2> -社会的判断力批判 ブルデューライブラリー
- 作者: ピエール・ブルデュー,石井洋二郎
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 1990/04/20
- メディア: 単行本
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結論
- 身体化された社会構造
- 概念なき知識
- 利害がらみの帰属判断
- 分類闘争
- 表象の現実と現実の表象
[...] 社会学者が分類する社会的行為者たちは──分類可能な種々の行為の生産者であるばかりではなく──、それら自体が分類されている種々の分類行為の生産者でもある。[p.338]
[...]身体化された社会構造
以上のことはまず第一に、社会科学が社会界を構築するにあたって、日常的慣習行動においては行為者自身が社会界の構築行為の主体であるという事実を[ブルデューが]念頭においていることを意味している。しかしそれはまた、社会科学がとりわけ構築原理の社会的発生過程を記述することを目的としており、自らがとらえうるような形での社会界のうちに これらの原理の根拠を求めているということも意味しているのだ3。[...] 時に「認識的」とも呼ばれたりもする観点、その民俗学的形態(構造人類学、エスノサイエンス、民俗意味論、民俗植物学など)においても社会学的形態(相互作用主義、エスノメソドロジー)においても、精神構造および分類の発生の問題を無視してしまう あの観点とは異なって、この[ブルデューの]社会科学は 分割原理とその根拠となる(世代間、男女間、等々の)社会的分割との関係について問いかけ、また分布構造の中で占められている位置によってこれらの原理の用いられ方にいかなる違いがあるかについて問いかけるのである(これらはいずれも統計に頼らざるを得ない問題だ)。
社会的主体が 社会界を実践的に知るために活用する認識構造は、身体化された社会構造である。つまり社会界の中で「理にかなった」行動をするために前提とされるこの社会界についての実践的知識は、もろもろもの分類図式(...)──すなわち種々の階級(...)への客観的分割の産物であり 意識と言説の手前で帰納する歴史的な知覚・評価図式──を活用するのだ。これらの分割原理は ある社会の基本構造が身体化された結果 生まれたものなので、その社会のあたゆる行為者たちに共通であり、したがって共通で意味のある世界、サンス・コマン の世界を生産できるようにしてくれるのである。[p.340]
せんせー、客観的構造ってなんですかー
それって、どうやって「身体化」されるのですかー
表象の現実と現実の表象
社会科学はデュルケームによって代表されるあの社会物理学の一形式──それは論理的な分類手段を活用しないかぎり「現実」を知ることはできないということを認める点では、社会記号学と一致している20──と、ガーフィンケルの言う「報告の報告」をおこなうことを目的とし、最終的には精神的な、すなわち言語学的な構造の産物でしかないかもしれぬ社会界のさまざまな記録を記録することしかできない観念論的記号学とのあいだで、いずれか一方を選択する必要はない。 行為者たちは 分布 distributions に関する自らの経験(これ自体が、分布構造における彼らの位置の関数である)に基づいて、社会物理学の計算報告書に見られるそれに劣らず客観的な種々の分割や分類を生み出しながら、希少性や希少財をめぐる競争についての実践的な知識を獲得してゆくのであるが、肝心なのは、希少性および希少財をめぐる競争の科学の中にこうした実践的知識を組み入れてやることである。 [p.363]