章構成

「コレスポンデンス」が一貫して「照応」と訳されております。
これが仏文クオリティ。


isbn:4938661063

第II部は、全体として、2-2-3に登場する「図5&6(p.192)の解説と敷衍」の形をとっており、p.191〜 の囲み記事における図の簡単な説明が、そのまま部全体の予告ともなっている:

第II部「慣習行動のエコノミー」

第2章 社会空間とその変貌
  • [1] 階級のコンディションと社会的条件づけ
  • [2] 三次元空間
  • [3] 転換の戦略
第3章 ハビトゥス生活様式空間
  • [1] 諸空間の相同性
  • [2] 様式的可能性の世界
第4章 場の力学
  • [1] 財生産と趣味生産の照応関係
  • [2] 象徴闘争
ともあれここで提起された理論モデルをできるだけ正確につかむためには、三つの図式が重ね合わされている(...)と考えていただきたい。
  • 第一の図式(ここでは図5がそれにあたる)は、各種資本の量と構造共時的・通時的分布状況によって構成される社会的位置空間を示している。[...]
  • 第二の図式(図6)は 生活様式空間──すなわち それぞれの位置がその中に具体的に現れてくる生活様式を構成する、さまざまな慣習行動や特性の分布状況[la distribution des pratiques et des propriétés *]──を示すものである。
  • そして最後に、これら二つの図式の間に第三の図式を導入しなければなるまい。すなわち、慣習行動や特性の集合のそれぞれを 生み出す原理になっている──ということは、ある存在状態・ある位置に特徴的なもろもろの必要性と安楽さを 一つの判明にして弁別的な生活様式へと変貌させる原理になっている──さまざまな 生活公式(たとえば教授層なら貴族的禁欲主義)の構成する理論的空間を、示すようなものである。[p.193-194]


図式一は2章で、図式二は第3章で、図式三が第4章で、それぞれ議論される。

「特性」の原語は何かな。

追記

* ご教示あり。via @berutaki

統計学者が、[a] 自分が分類し計量する諸特性だけではなく、[b] 分類したり計算したりするために用いる諸特性も含めて、自分の扱う全ての諸特性が 階級闘争の武器でありまた争点でもあるということを忘れてしまうとき、彼は階級というものを ほかの諸階級との関係から切り離してしまいがちになる。[p.378]

この文をみる限りでは、「特性propriétés」は、基本的には [a] 調査において測定される統計量を、そして加えて [b] その分類に用いられるカテゴリーを 指している模様。