5月20日(消印有効)ですYO!
ちまたの噂通り、MCDのセッションがでてました。「社会的いとなみにおける/のカテゴリー化」
趣旨:
カテゴリー、類型化(typification)、表象といったタームは、社会学の伝統の中で目新しいものではない。しかしながら、たとえばバーガー=ルックマンの類型化概念についてのエスノメソドロジカルなクリティークが述べるように (メイナード『医療場面の会話分析』邦訳、p.11)、それらは従来、人びとの日常的、具体的ないとなみと遊離した理論的抽象の「高み」で構想され論じられる傾きが強かった。しかし、近年会話分析やディスコース分析といった、人びとの実際の言語使用に焦点を合わせた探究が進展するにつれて、局面は大きく変わりつつある。人びとが社会的いとなみの中でたずさわり、そのいとなみそのものを組織化するカテゴリー化という作業の捕捉が、エンピリカルな研究課題としてクローズアップされてきているのである。
こうした局面の転換には、さまざまな思潮が関わっているが(構造主義からポスト構造主義へという流れなどもその一つだろう)、一つ重要なものとして、サックスに始まるMCD(成員カテゴリー化装置)系統のプログラムの「封印が解けた」ことを挙げたい。エスノメソドロジー/会話分析では、1970年代以降会話のシークエンシャル(継起的)な組織を解明する試みが精力的に行われ、(同じサックスの遺産でありながら)MCDの発想は片隅に囲い込まれたままの感があった。しかし、近年になって、MCD論系統のカテゴリー化分析が一つのアプローチとして活発に論じられ、実用されるようになった。スティーヴン・ヘスターを始めとする研究者たちが注目すべき成果をあげ、その動きは、他の系譜のカテゴリー関連の研究にも積極的な刺激を与えてい るようにみえる。
大略以上のような状況認識になって、このセッションでは、認知的な“カテゴリー”ではなく社会的行為としての“カテゴリー化 (categorization)”をテーマに、エスノメソドロジー、構築主義、シンボリック相互行為論、言説分析など多彩なバックグラウンドからの報告を募る。具体的な分析事例の報告や報告者間の討論を通じて、カテゴリー化の分析をより「使える」ものにし、私たちのエンピリカルな探究を充実させる方途を探りたい。
- キーワード:カテゴリー化、相互行為、日常言語