納涼トッシキ祭り:ルーマン『公式組織の機能と派生的諸問題』

朝食。

公式組織の機能とその派生的問題〈下巻〉

公式組織の機能とその派生的問題〈下巻〉

組織における相互行為を──落ち穂拾い的に──扱った第4部のいくつかの章をみると、トピック・問題関心が 30年以上にわたって 驚くほど かわっていない事が確認できる。

第4部 公式組織における恊働

  • 21章 状況の固有性
  • 24章 原初的行動期待──その衰退と存続
    • 1)援助と感謝
    • 2)取引
    • 3)冗談
    • 4)個人的尊敬
    • 5)知りあいになるさいの形式
    • 6)思いやりとていねいさ
    • 7)間接的コミュニケーション

「状況の固有性」では〈矛盾〉が、「原初的行為」のほうには〈間接的コミュニケーション〉が、それぞれに ご登場。

「状況の固有性」というタイトルで述べられているのは、「組織において対面的相互行為が生じるときに(も)、その都度の共在 copresence - Anwesen には それとして扱わねばならない固有の秩序*がある」──したがって「組織論」の枠内においても、共在を扱いうる特別の議論(つまり「相互行為」論)が(狭義の「組織論」とは別に)必要だ──、ということ。
* つ_ま_り、社会的システム。 なお、「状況」という語は、おそらく Anwesen と互換的な語として使用されている(「共在の固有性」)
〈矛盾・コンフリクト〉ネタは、『啓蒙2』巻頭論文「相互行為・組織・ゲゼルシャフト」にも『要綱』にも、ほぼ同じしかたでもって、登場する。
したがって、ルーマン先生は「コンフリクトを適切に扱うには システム類型の区別が必要だ」という主張を、デビュー当初から持っていた、ということになる。


ところで〈間接的コミュニケーション〉なる謎の概念の出典は行政学経営学?)の文献であること、また、〈(狭義の)コミュニケーション〉と〈間接的コミュニケーション〉の違いが──驚くべき事に──〈意図/情報〉にもとづけられていることがわかったが、この概念を術語として維持するのはほとんど無理だろう。

この語に30年にもわたって付き合いつづけたとは。なにを考えておられるのか先生は。


ところでググってみると、google:間接的コミュニケーション という言葉は、〈「会ってはなす」以外のやりかたで採られるコミュニケーション〉という意味でも使われている事がわかる。

〈対面的/間接的〉という対比。

てことはなおさら、こんな語は術語として使用できないよ。


1.広告コミュニケーションとは

広告とは、企業のマーケティング活動を促進するために使われるコミュニケーション活動であり、心理的には、商品やサービスなどを大衆に広く知らせて、買うように説得するコミュニケーション技術である。
井上宏によれば、コミュニケーションの形態を捉えるには次の4つの視点がある。

  1. 直接的か間接的か
    • 間になんらかのメディアをはさむかどうかで区別する。直接的なものは、肉眼で見える範囲、耳で肉声が聞こえる範囲がメッセージの到達範囲となり、受け手は少人数という制約を受け、メッセージも時間的な保存がきかない。間接的なものは、紙、電話、テレビ、パソコンなど、様々なメディア開発によってますます多様化し拡大しているが、日常において直接的なコミュニケーションは欠かせないものである。
  2. 全体的か文節的か
    • 人間の感覚器官のすべてを動員するか、その一部を動員するかで区別する。全体的コミュニケーションは直接的コミュニケーションと重なり、文節的コミュニケーションは間接的コミュニケーションに重なる。文節的・間接的コミュニケーションでは、間にはさんだメディアの特性に関与する感覚器官だけが用いられる。
  3. 双方向的か一方向的か
    • 発信者と受信者の間で、メッセージの流れが双方向的になされているか、一方向的になされているかで区別する。直接的なコミュニケーションは双方向的である。間接的コミュニケーションは、メディアの特性に従って、どちらもあり得る。手紙や電話は双方向的であるが、ラジオやテレビ、新聞、雑誌などのマス・メディアは一方向的であり、だからこそ広範囲の人々への情報伝達が可能である。
  4. 閉鎖的(クローズド)か開放的(オープン)か
    • コミュニケーションが、閉じられた関係の中で行われているか、開かれた関係の中で行われているかで区別する。その境界はそれほど明瞭ではない。本来クローズドなコミュニケーション回路にしか乗らないことがオープンなコミュニケーション回路に乗せられてしまう場合があるし、逆にオープンなコミュニケーションに規制を設けて、クローズドの性格を持ち込む場合もある。

これらの4つの視点から見ると、広告コミュニケーションは、間接的、文節的、一方向的、開放的なコミュニケーションツールである。さらに、広告コミュニケーションは、基本的に「拒否」を前提としている。一方的に向こうからやって来て、「拒否」されるまいと工夫を凝らして興味をひこうとするのである。この点において、広告コミュニケーションは他のコミュニケーションと異なっているといえる。

「文節的」って分節的?
「間になんらかのメディアをはさむか否か」て。そういうお前らは、対面的相互作用において光や空気や言語は使用しないですか。

ところでこの本のタイトルにおける「現代」は どこにかかりますか。



G.マレツケによると,コミュニケーションの課程は以下のように整理・分類される。

  1. 対面的コミュニケーションの形式をとる直接的コミュニケーションと,メディアが介在する間接的コミュニケーション。
  2. 送り手と受け手の役割交換が行われている相互的コミュニケーションと,そうした役割交換がない一方向的コミュニケーション。
  3. メッセージが特定の個人や少数の限定された人々に送られる私的コミュニケーションと,受信者の範囲が限定されていない公的コミュニケーション。”1)

おいおい。文献表はどこだ。



これらしい。

  • ゲルハルト・マレツケ、『マス・コミュニケーション心理学 : 理論と体系化』(NHK放送学研究室訳、日本放送出版協会
    • Gerhard Maletzke, Psychologie der Massenkommunikation Theorie und Systematik, Hamburg 1963