小野『不況のメカニズム』

夕食。
10ページ単位くらいでみると論旨明快なのだが、本全体ではものすごく繰り返しが多い。異様に多い。一つの論文に3回同じことを書く人を私は知っているが、それどころではない。

それ以前の経済学では脇役だった媒体(つまり貨幣)を それとして取り上げ*、「流動性選好」というものを考えた点でケインズはえらかった。だけど彼は、それを──「投資」に結び付けて考察しはしたけど(→投資に関する需要不況の理論)──「消費」に結び付けては考えなかった。後者の路線を追及すると、ケインズとはまた別の議論(→消費に関する需要不況の理論)が導かれるよ。‥…という話。

* おぉ。レッキとした20世紀な議論だ。
ちなみにルーマンも──もちろん──この路線をちゃんと(?)踏襲しているよ。『社会の経済』は──労働でも生産でもなく──貨幣に焦点をあわせた経済社会学の試みなのであります。


恥ずかしながら「新古典派ケインジアンは再分配の方針について対立しているわけじゃない(需要不足なるものは存在するか、どっちの不況対策案が効率的かという点で対立している)」という指摘が勉強になってしまった。と書いてみたがほんというと別に恥ずかしくない。

だって俺デザイナーだし!