松岡伸樹『法的内部観測理論の試み:ルーマン法理論を超えて』

通りすがりに。

法的内部観測理論の試み―ルーマン法理論を超えて

法的内部観測理論の試み―ルーマン法理論を超えて


出発点からして間違っておる。
ルーマン理論の検討が開始される冒頭の二文に曰く:

 ルーマンによると、システムとはルールの集まりではなく、事実的になされた作動の集まりであるとされる(Luhmann [1993=2003:38])つまり「システムと環境の区別」は、その機能においてなされているのである。[p.19]

「システムの要素」と「システムの機能」の区別すらついてない。そしてずっと間違ったまま終了。
このひと、一度でも『社会の法』を通読したこと あるのかしら?

ちなみに、『社会の法』では、「法の機能」が第3章で論じられ、続いて4章で「法のコード」が論じられるが、その4章の冒頭は次のように始まるのだ:
 法システムを記述するためには、機能を示すだけでは不十分である。われわれは前章で、次のことを確認しておいた。すなわち、法システムは自分自身を再生産し、環境に対して自分自身を区切る。その際、法システムが何に定位しているのかは、機能だけからではまったく不明確になってしまうのである、と。[p.177]