大森貴弘(2008) 「権力分立論における政党の位置 ──三たびニクラス・ルーマンのシステム理論に着目して」 早稲田法学会誌 58(2) |
課題設定
- 古典的権力分立論
- これ↑には「政党」がはいってない。加えられたのは20世紀に入ってから。(ex.シュミット『現代議会主義の精神史的地位 (みすずライブラリー)』)
- 日本国憲法は政党の条項を持っていない。
p.153。
日本では権力分立の要素として政党を考慮する学説は今なお少ないのが現状である。このような不十分さを補充するために、本稿では、ドイツの社会システム論者である二クラス・ルーマンの見解に着目しつつ、権力分立制における政党の位置づけについて論じることにしたい。
メモ
- 初期ルーマンの議論においては、「法システム」は独立した位置を与えられていなかった(=法の分立はいわれていても、法システムの分立はいわれていなかった)。→「司法」も、「政治システム」に含まれていた。
- 1972年に、議論は大幅に変更される。「法システム」と「政治システム」がそれぞれ独立したシステムだとされるようになる。→「司法」は法の側に位置づけられるようになるが [p.162-]、「立法」の位置が微妙なものとなる↓[p.165-]
- 中期ルーマンの議論では、立法は「政治システムから法システムへの法律の供給」という図式が用いられている(ex. 1981, 1982:)。ここでは、「立法」は、政治と法の双方に「含まれている」ように見える。
- 「オートポイエティック・ターン」によって、この「二重の相互交換」図式も破棄される(ex.1983)。
検討対象
ルーマンの諸論考を検討するついでに こいつの批判もしておくよ:
Niklas Luhmann's Theory of Politics and Law
- 作者: M. King,C. Thornhill
- 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
- 発売日: 2003/09/16
- メディア: ペーパーバック
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ちょっと読んでみて「なんじゃこら」と思っていたこの本ですが、大森さんの評価も相当辛いです。ていうか大意でいうと、「ダメ本もいいところ」ですな。
文献
- 栗城寿夫(1997)『一九世紀ドイツ憲法理論の研究 (学術選書)』
- 黒木三郎・大橋憲宏・斎藤秀夫 訳(1986)「<資料>ニクラス・ルーマン『法社会学(第二版)』 : 「第二版への序」と「終章:法システムと法理論」 」『比較法学』20(2)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000313227