(2011-09-24)応用哲学会大会ワークショップ「哲学と社会学のコラボレーションのために (I)」

9月の23日から25日にかけて京都大学で開かれる応用哲学会の大会のワークショップに、『概念分析の社会学 ─ 社会的経験と人間の科学』の編者二人(浦野&中村)が参加します。ご近所ご家族 お誘い合わせのうえ、ぜひ ご来場ください。非会員の参加費は1000円です。
出番は 2011年 9月24日の 14:30〜16:30。会場にはわたくしも参上します。


以下、予稿(出口さん筆)からの抜粋:

ワークショップ:哲学と社会学のコラボレーションのために(I)

哲学と社会学。近くて遠い、遠くて近い関係にある、こ れ ら二つのディシプリンに関わる研究者が、共通のテーマについて議論を交わすことで、両分野のコラボレーションの可能性を探る。これが本ワークショップの目的である。
今回の主な「お題」は「科学」。哲学者や社会学者にとっては、「サイエンス・ウォーズ」以来の因縁のトピックである。で、このトピックを巡って、以下のような四つの「メニュー」が用意されている。

  • (I&II)科学知を生み出す「プロセス」の分析は社会学の「お役目」、生み出された「知」の分析は哲学者の「お仕事」。このような従来の「すみ分け」ないし「役割分担」を踏み越え、科学知を産出する社会的なプロセスをも視野に入れた哲学的・認識論的分析を試みるのが「社会認識論」である。このような「哲学サイドからの越境」の「内実」はどのようなものか、それは、どのようなインパクトを社会学サイドに与えうるのか。
    このような問題意識の下、まず、「社会認識論」に、「機器の実在論」や「実験哲学」といった他の動向をも重ね合わせることで、(実在論 vs.反実在論といった)従来の「対立の構図」には容易に収まらない、「哲学界のニューウェーブ」の実態を明らかにする(二瓶発表)。
    次に、このような「ニューウェーブ」の登場を受け、社会学、特に「科学社会学」のあり方を‐その前提や方法論の見直しをも視野に入れて‐再考する(山本発表)。
  • (III)社会のあり方と、それについて、その社会のメンバーが抱いている「考えや概念」は、互いに複雑にからみ合っている。そして、この「からみ合い」のあり様を解明することこそ、社会学の重要な「お仕事」なのだ。ウィトゲンシュタイン、ウィンチ、ハッキングといった哲学者が社会学者に投げかけたこの「ボール」をはっしと受け止め、、「概念分析としての社会学」の可能性と意義を探る(浦野発表)。
  • (IV)「科学的事実は社会的に構築されるのか。」社会構築主義を巡るビッグ・イシューを解く(ないし乗り越える)カギは、哲学的な議論にではなく、科学の現場での「人工物」概念の用いられ方の「記述・分析」にある。このような見通しの下、マイケル・リンチのアイディアを手掛かりに、医療の現場への「電子カルテ」の導入という事例に即して、「人工物」概念の記述を試みつつ、その記述の「有用さ」を示す(中村発表)