- 作者: 矢沢修次郎
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1984/12
- メディア: 単行本
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第2章「プラグマティズムの社会学」
2. 「心理学から社会学へ」1. 「社会心理学の形成」
L. ウォードによって開かれた社会学の道と、プラグマティズムの心理学とりわけW. ジェームズの心理学によって開かれた道とが交差する地点に、社会心理学という果実を実らせた最初の研究者は ジェームズ M. ボールドウィンである。彼は、広い意味での進化思想にはぐぐまれた発生心理学の部分としての児童心理学から社会心理学を生み落して行った。[117]
ボールドウィンは、結論として、人間の成長の正常的運動に照らしてみた場合、個人と社会は全く別のものではありえず、その関係は、社会性において生きることがパーソナリティ、個人性を成長せしめるといったような相即的なものであることを強調したのである。
ここに社会学と心理学が出会える共通の基盤が設定されたのであり、この基板の上にアメリカの社会心理学が発展していくことになった。その第一番目の担い手は C. H. クーリーである。[119]
その次の大物はデューイ。
- デューイには「社会心理学の必要性」(1917)なる論文がある。
- 1921年の『人間性と行為』asin:4822601331 のサブタイトルは「社会心理学序説」。