森田雅憲:ハイエク・ルーマン・所有

ハイエクの社会理論―自生的秩序論の構造』の著者がハイエクの議論をシステム論的に再定式化したうえで所有権を論じるという連作を書いていた。

  • I はじめに
  • II 社会契約論と自生的秩序論
  • III 私的所有制度の成立過程
  • IV むすび
  • I はじめに
  • II 社会システム理論と本稿のアプローチ
  • III 私的所有制度の創発
    • (1) 相互作用システム
    • (2) 組織システム
    • (3) 社会システム
    • (4) 経済システムと法システムの機能分化
  • IV むすびにかえて:ルーマンの所有権論
  • I はじめに
  • II ハイエク体系とルーマン体系の相違
  • III 比較に向けてのいくつかの論点
  • IV むすびにかえて

引用

(2015)「私的所有制度の起源」
  • 354 「ルーマン自身、所有権に関する議論を展開しているが、こと起源に限っては、明確な理論を展開していないようである。これは、そもそも彼が、「支払い」という「単位行為」によって経済システムを定義しているからであり、そこではすでに貨幣的交換が前提にされている。したがって、貨幣経済になる以前の未分化の経済活動が視野の外に置かれざるを得ないという事情があるからだ。」
  • 355「コミュニケーション・メディアが成立した後、所有が生じるというのは順序が逆ではないだろうか。彼の主旨は、コミュニケーション・メディアとしての貨幣が登場し、稀少財の所有/非所有というコード化が可能になって、初めてシステムとしての経済が分化するというところにある。」

ルーマンが言ってるのは「所有はコミュニケーション・メディアだ」なんだけど。 その点の理解は大丈夫なんだろうか。

文献

(2014)「自生的秩序としての私的所有制度の成立」