会話分析における「コンティンジェントな構造」と「アプリオリな構造」

  • Jeff Coulter, "Contingent and A Priori Structures in Sequential Analysis", HUMAN STUDIES, Vol. 6, No. 4, 361-376, October 1983.

14周回目。いまのところ、あくまで、「非共感的」で「外在的」で「フォーマル」な読み方しかしていないが、もう一歩踏み込んで──そのためにはEM&会話分析に関する教養を せめてもう少し身につけないといけないが(涙──検討すべき、論文のキモだと思われるところについて、簡単にメモしておく。[数字は冒頭から順に振った段落番号]

論文の主導的準拠問題

  • 01〜02
    1)「to what extent, if at all, do claims for the conventionality of any given, identified sequential arrangement of utterances arising in natural conversational interaction depend upon statistical arguments?」という問いを問う(・定式化する)ことを通して、
    2)発話内行為の「コンティンジェントな構造」と「アプリオリな構造」の違いをexploitすることを目指し、さらに
    3)会話分析と論理文法分析との関係(=どのような意味でそれらは「同じ」なのか)を示すこと

クルターのclaims

  • 02後半〜03冒頭:「I want to propose that there are significant similarities between the work of specifying abstruct combinatorial tolerances for illocutionary activities (or "turns at talk")[→会話分析] and that of specifying the rational combinational tolerances for concepts in a natural language.[→論理文法分析]」
  • 07冒頭:「To claim for questions and answers, summoneses and answers, offers and acceptances or refusals (and the rest) that they may, as matters of convention rather than empirical distribution, occur in pairs, is essentially to indicate the logical co-implication of each pair-part. It is in no sence an empirical argument because...」
  • 08冒頭「【<アプリオリ>な構造に関するシーケンス分析の関心】は、
    【<アプリオリ>な概念的関係についての概念の論理文法[分析]の関心】の
    genuine extension になっている」
    [→という仕方で、会話分析は論理文法分析と関心を共有している=会話分析は、論理文法分析を拡張したものだ!]

「いかにして<アプリオリ>な知見を得るのか(/得たといえるのか)」についての例

  • 10〜11:「チェスの駒配置をみる Vendler」の例[→アプリオリにして綜合的]
    • 10:「トランスクリプトデータをつくりあげる際に、論理文法分析も会話分析も、elaborate reminder を必要としている」
  • 「分析上の主張に関する典型的な論争がいかに生まれ・また解決されたか」を示す例
    • 20〜21:1)論理文法分析からひろった例
    • 22〜24:2)会話分析からひろった例

シェグロフ批判を介した、「EMはなにをしている(ことになる)のか」についてのクルター的(再)定式(化)

  • 14〜15
  • 16〜18:「我々の主題は、メンバーの理解の研究というよりもむしろ、<会話上の対象-と-それらの論理的な関係>にある」。それらを扱うことによって我々ができるのは、「どんな当該の話者でも、発話Xを、ターンタイプZやシーケンスタイプSとして<おそらく合理的に>聞くだろう」ということを議論することだけなのだ。→「様相上の特定化modal specification」。


あれ? キモというより、これじゃほとんどぜんぶじゃねーか(涙


この「キモ達」をさらに整理すると、

claims(02-3, 07, 08)[社会学における「アプリオリ」なものの擁護]

  • ←→論証・例示(10-1, 20-4)[「アプリオリ」とはどういうことか]

が、メジャーストーリーを形成しており、サブストーリー

(14-8)「EMはなにをしている(ことになる)のか」

が、それを支える位置にいるようだ。