【朝日新聞】ヒト科学 21「情報伝達」という神話(西垣通)

興味深いのでメモしておく。

「情報伝達」という神話
朝日新聞夕刊(1/15)、文化欄より。“ヒト科学 21 「情報伝達」という神話(西垣 通)”。興味深いのでメモしておく。
……情報伝達というとき、普通われわれは送受信される意味内容に着目する。そして、情報があたかも小包のように、送り手の心から受け手の心へとそっくり送り届けられると考えがちだ。……21世紀の新しい情報学では、心から心へと小包が送られるとは考えない。オートポイエーシス(自己創出)理論によれば、人間の心とは自立的に動く閉じたシステムである。そこでは、いろいろな「想念」が自己循環的に浮かんでは消える。……よく考えるとわれわれは皆、自分の過去の経験にもとづいて、言葉やイメージの意味を自分勝手に解釈している。だから、「情報は伝わらない」のだ。……心の中は本来自由である。だがいったん社会のコミュニケーションに参加するとき、人間は必ず何らかの「役割」を演じることになる。そして社会システムが滞りなく動作しているとき、そこでは「情報が伝達されている」と見なされるわけだ。……言うまでもなく、社会の便宜を支えているこのシステムを、単純に否定することはできない。しかし、たとえば資本が流通させる芸術娯楽作品の受容の仕方については、よく考えてみる必要があるだろう。作品が定型的な情動反応を引き起こし続けるとき、それは人々の一体性を高め法外な利益を生む一方で、自由な感動の領域を狭めてしまう。……
weather-5 (2004年01月15日) http://weather5.info/mt/archives/000241.html
これが噂の新聞連載ですね。(新聞とってないんでー)