『社会構造とゼマンティク 1 (叢書・ウニベルシタス)』つづき。
- 序言
- 第一章 社会構造とゼマンティクの伝統 [64]
- 第二章 上流諸階層における相互行為
──十七世紀と十八世紀におけるそのゼマンティクの転換について [84]
- 第三章 初期近代の人間学
──社会の進化問題の理論技術上の解決 [68]
- I (149)
- II (151)
- III (155)
- IV (159)
- V (164)
- VI (172)
- VII (177) ★
- VIII (188) ★
- IX (198)
- X (201)
- XI (206)
- XII (209)
- 第四章 複雑性の時間化
──近代の時間概念のゼマンティクについて [62]- 第五章 自己言及と二項図式化 [14]
第三章「初期近代の人間学──社会の進化問題の理論技術上の解決」
I (149)
本書で考察した時期は、宗教戦争が終わった後の100年──おおよそ1650〜1750年──の時代である。本書ではこの時代を、社会構造から見て、ヨーロッパの全体社会システムが、長期的に進行する分化の新しい形態に──つまり主要な下位システムの機能分化に──はじめて内部で反応し始める時期と解釈する。
- (4) 『読書と市民的家族の形成―ピューリタニズムの家族観』
- (5) 〈社会的秩序 ordre social[=家族]/政治的秩序 ordre politique[=政治的秩序]〉
- Gerhard Östreich 1969 Geist und Gestalt des fruhmodern Staates, Duncker & Humbolt.
『伝統社会と近代国家 (1982年)』、ISBN:4000014404
- Gerhard Östreich 1969 Geist und Gestalt des fruhmodern Staates, Duncker & Humbolt.
歴史分析のために十分な明確さを得るためには、先ず理論的基礎をさらに彫琢しなければならない。そのためには3つのステップが必要である。
- 全体社会システムが第一次的に階層的な分化から第一次的に機能的な分化に転換されるときに、どのような再構造化が必要か、より正確に知らなければならない(II)。
- さらに、この転換が歴史的過程であって、各段階において継続性と非継続性を同時に要求するが、継続される点と継続されない点は変化しうる、ということに注意しなければならない(III)。
- 最後に、ある象徴世界が別の象徴世界におきかわるときに、宗教的なゼマンティクあるいは人間学的なゼマンティクがこの転換に付随していくことを そもそも可能にするのは何か、明らかにしなければならない(IV)。
II (151) : 【ステップ1/3】機能分化への移行には どのような再構造化ともなうか。
- 各下位システムは、秩序を保証するが資源も要求し、問題解決をするが問題転嫁もする。
- 移行期における上流階層におけるコミュニケーション: 役割レベルで始まっていた機能分化の阻止
- 機能分化へ向けての転換は役割構造を根本的に変化させる: 達成役割の分出だけでなく、特殊な補完的役割の分出も必要。
- ex. 政治固有の意義をもつ公衆の形成(民主化)
- ex. 研究の共鳴領域として専門分野に関する判断力をもつ「科学共同体」の形成
- ex. (教育される)子供や生徒といった特殊な役割類型の形成
- ex. 市場によって構成され市場によって到達可能な(純然たる)消費のための役割
- それとともに、平等・相互性・お互いの権利の義務の均衡という古い考え方が崩壊する。
対称的-相互的な社会性の規範化は、影響力のない社交という特殊領域に押し込められる。
- それとともに、平等・相互性・お互いの権利の義務の均衡という古い考え方が崩壊する。