|
序章「ロバート・ケネディと富の測定」
第1章「会計」
- アナリアス・チャールズ・リトルトン(→1952/1978)『会計発達史』ISBN:4495117866 同文館出版
第2章「商人と数学」
- [49]「パチョーリがフランチェスカの弟子であったという説の出所はこのヴァサーリだった。」
第3章「ルカ・パチョーリ、有名人になる」
【話法】
私は雄弁術を駆使した文章スタイルに無知ではありませんし、キケロ流の雄弁術を学んだ公爵にはそのように語りかけるのがふさわしいことはわかっていますが、この全集は人々の言葉で書くことにしました。ラテン語で書けば、普通の人は理解できないからです。[75]
- [77]「15世紀には、数字を使って掛け算を行うのは非常に難しいこととされており、割り算に至っては一般人の手に負えるものではなく、専門家が行うものだと思われていた。」
第7章「複式簿記と資本主義──卵が先か、鶏が先か」
- [160]「資本主義」という語は1850年にフランスの政治家・歴史学者であるルイ・ブランが『労働の組織』のなかで使ったものである。「しかし、資本主義という言葉は、19世紀にはほとんど使われることがなかった。マルクスでさえも使っていない。」
- [160]「資本主義という概念もまた複式簿記から来ているようだ。フランスの社会学者エブ・シャペロは、当時の社会科学者たちが資本主義という考えを思いついたとき、その背景に19世紀の帳簿があったと考えている。その定義が、複式簿記における分類や手順に深く関係しているからだ。」
- [161]「複式簿記の影響力の大きさに最初に気づいたのは、あまり知られていないが、19世紀のイギリスの簿記に特別な関心を寄せていたマルクスだった。」
- [162]「ゾンバルトはマルクスの思想に学び、簿記の進化過程を探りながら、資本主義と複式簿記に歴史的つながりがあるという自論を展開していった。」
- [164]「ゾンバルトの意見を総合すると、複式簿記が現代の資本主義社会を生み出したということになる。… 当時はなかなか受け入れられず、経済学者や歴史家からは酷評された。」
- [167] まとめ:資本主義の起源はさておき、「資本主義」なる概念の起源は複式簿記にある。
第8章「ケインズ──複式簿記と国民の富」
- ロバート・スキデルスキー(→2001)『ケインズ』ISBN:4000271636 岩波書店
- [180]「大量の統計を使って国民勘定をつくるストーンらの試みは、ケインズに「喜んで統計を使う新たな時代に入った」という皮肉を言わせることになった。経済を道徳の実践とみなす思想家として、ケインズは統計を懐疑的に見ており、国民経済を数字で測るのは時代の要請による緊急措置で、あくまでも例外だと考えていたのである。」
- 「国民経済計算 national accounting」
- [185]「国民所得の測定については、当初からその正確性や有用性を疑問視する人々もいた。ケインズもそうだが、サイモン・クズネッツ自身もその一人だった。たとえばクズネッツは、国民勘定には無報酬の家事労働も含めるべきだと考えた。家事労働の貨幣価値を見積もるのは非常に困難だが、国民経済に対する寄与度が大きいので、これを考慮しないわけにはいかないと強く主張したのである。しかし、商務省はこの提案を却下した。そのため、1940年代の終わりごろ、クズネッツは商務省との関係を絶った。」
すごいはなしだなこれ。
第9章「会計専門職の台頭とスキャンダル」
- [204]「監査期待ギャップ」