Eric Weber(1970)How to Pick Up Girls

ナンパマニュアルの古典中の古典。


ISBN:0914094009 ISBN:B07Z5GZKVQ

1985年に日本語訳が出ているようだがこれはもう手に入らないっぽい。

1970年にエリック・ウェバーが “How to Pick up Girls!(女の子をピックアップする方法)” を出版し、Pickup という言葉を定着させた。それから30年後、30代前半の音楽ライターであるニール・ストラウスはこの神話的人物に会いにいった。ウェバーは広告のクリエイターとして成功し、ナンパ本を書いた頃に知り合った女性と結婚して、2人の娘のいる家庭を築いていた。
 ウェバーがナンパ術を会得しようとした背景には、60年代アメリカの大きな文化的変化があった。
 それまでは、若者たちは教会の集まりのような地域のコミュニティで相手を見つけ、結婚していた。ところが60年代になると、大学進学や就職で親元を離れ、都会で一人暮らしをするようになる。女性たちはピルを飲みはじめ、カウンターカルチャーやヒッピー・ムーブメントが社会を揺るがせ、カジュアルセックスが当たり前になった。
 このライフスタイルの変化によって自由恋愛の時代が到来し、都会の若い男たちは、独身者用のバーやパーティ会場で女性と出会い、会話し、恋愛関係をつくらなければならなくなったが、誰もその方法を教えてくれなかった。
 そんなときウェバーは、一緒にコピーライターの見習いをしていた友人が、公園で魅力的な女性に声をかけ、やすやすと金曜のディナーの約束を取りつけるのを見た(友人はその夜に処女の彼女とセックスまでしていた)。

橘 玲「ブリトニー・スピアーズの連絡先をゲットした「スピードナンパ術」とは?…セレブの「低い自尊心」を利用する」(プレジデントオンライン、2022年01月12日)

 Incelという語自体は(皮肉なことに女性によって)1993年に開設された掲示板サイトに由来するそうだが、インセルというコミュニティの由来は、やや意外なところに求めることができるらしい。
 人種差別やヘイトクライムに対抗する非営利団体、南部貧困法律センター(Southern Porverty Law Center)によれば、「インセルはピックアップ・アーティスト運動から派生した」という。
 ピックアップ・アーティストというのは、ようするに「ナンパ師」のことだ。女性を口説いてセックスに持ち込むことをピックアップ(お持ち帰り)と言い、そのための心理的テクニックを学んで駆使するのがピックアップ・アーティストである。
 現在のピックアップ・アーティスト運動の源流とされているのが、ロス・ジェフリーズという人だ。1999年の映画『マグノリア』でトム・クルーズが演じた役のモデルがこの人で、80年代末に神経言語プログラミングNLP)等の心理学的小道具をちりばめたナンパ術を編みだしたと称し、「生徒」を集めて伝授していた。
 2005年にはジャーナリストがピックアップ・アーティストのコミュニティに潜入取材したノンフィクション「The Game」がベストセラーとなり、その名も「The Pickup Artist」という、参加者にピックアップ・アーティストがナンパ術を指南するというリアリティ番組も制作されて人気を博した。

"八田真行「凶悪犯罪続発!アメリカを蝕む「非モテの過激化」という大問題:テロにも発展。その名は「インセル」」(現代ビジネス、2018年07月01日)"