一週間で読むニクラス・ルーマン

ついさっき『社会研究の哲学』読書会MLに送ったメール。からのコピペ。

なお、このネタについては「大学一年生のためのニクラス・ルーマン理論入門」大学一年生のためのニクラス・ルーマン理論入門(のためのメモ)も参照のこと。

読書会夜の部で、

「一週間でわかるルーマン」リストを──ルーマンの翻訳については非常に悪い評判を聞くことが多いが、その点についても配慮したうえで──作れ(大意)

というリクエストに接したわけです。その場で「あなたは一週間で何冊本を読めますか?」という前提的な質問をするのを忘れたわけですが、ともかくも、【二つの途】を考えてみました。

ひとつの途

80年代以降[=後期]のルーマンの主要な仕事が、「A)社会の理論」「B)社会構造とゼマンティク」という2シリーズの形で行われたことに着目した場合のリスト:

もうひとつの途

私としてはこちらをお勧めしますが──:

ルーマンの仕事が、当時の古典的・標準的な「経営学・組織論」のシステム論的な読み替え・再検討から始まったことに着目した場合のリスト。

バーナード、サイモン etc.以来の

とはいえドイツで議論しているかぎり、当然のことながら、ネタは少なくとも国法学的伝統にまで遡るわけですが

古典的・標準的な理論にある程度なじみのある方ならば、ルーマンがそれらにどうアプローチし・どう書き換えたか、をみるのはなかなか楽しい筈。

  • 【1】デビュー作:『公式組織の機能とその派生的問題』 ISBN:4787792016 ISBN:4787796119
  • 【2】デビュー作で扱った論点あれこれのうち、特に 〈目的/手段〉図式 にかかわる議論を扱った:『目的概念とシステム合理性』 ISBN:4326600691
ルーマンは、もう一冊『組織と決定』 ISBN:3531134515 という本も出してますが、残念ながらこいつの訳はありません。代わりに──といってはナンですが──こいつ↓をあげておきます(経営学者の長岡さんが、他でもないこの本を選んで訳出したことにはいろいろな意味があるはず):


ところで。
「一週間でわかるルーマン」リストを作れ、というリクエストに対しては「ルーマンは一週間ではわからない」と返答するのが誠実であるようにも思いますが、それはさておき、私としては「一週間でわかるEM」リスト」の作成をリクエストしたいとおもいます。

近代の観察 (叢書・ウニベルシタス)

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社会システム理論の視座

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情熱としての愛―親密さのコード化

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社会システム論と法の歴史と現在―ルーマン・シンポジウム

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公式組織の機能とその派生的問題 上巻

公式組織の機能とその派生的問題 上巻

公式組織の機能とその派生的問題〈下巻〉

公式組織の機能とその派生的問題〈下巻〉

目的概念とシステム合理性―社会システムにおける目的の機能について

目的概念とシステム合理性―社会システムにおける目的の機能について

権力

権力

お買いもの:クルツィウス『ヨーロッパ文学とラテン中世』

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

ヨーロッパ文学とラテン中世

ヨーロッパ文学とラテン中世

土曜日に読んだHughes & Sharrock『The Philosophy of Social Research』で「commonplace」という語をみかけたので、ふと思いついて久々に古書店を検索してみたところ、10k(泣)で出ていたよ。
アマゾンだと 19k で出ているねw。
つーか、いつのまにか再刷された?? 買えるようになってますね。定価15Kだけどw。


ちなみに──前にもルーマンがらみの話題でリンクを張った先ですが──、「トポス/トピカ」についてはここ↓を参照のこと>読書会参加者

E. R. クルツィウス 『ヨーロッパ文学とラテン中世』
第4章「修辞学」 3.「古代修辞学の体系」

[……] 要するにすべて弁論(賛美の弁論もふくめて)の狙いは,一つの命題もしくは事柄をもっともらしく思わせることにある.それには聴き手の悟性もしくは心情に訴える論法をあやつることが必要である.ところで,多種多様の場合にも応用されうるような一連の論法が存在する.それは自在に発展せしめ変化せしめるのに適した思想的テーマであって,ギリシア語ではκοιυοι τοποι,ラテン語では loci communes と呼ばれる.古いドイツ語では《Gemeinörter》と呼ばれ,レッシングやカントもこの言い方をしている.そののち1770年ごろ,英語のcommonplaceにならって《Gemeinplatz》の造語が生まれた.しかしこれでは本来の使用法がすでに失われているので,ここでこの語を使用することはできない.それ故われわれは,ギリシア語の「トポス」(topos,複数はtopoi)をなお使用することにしよう.[……] 古代にはこのようなトポスの収集が行なわれた.そしてトポスに関する学問は「トピカ」(topica)と呼ばれ,独立した書物で扱われた.
このように本来トポスは弁論作製のための補助手段である.それはクインティリアヌス(V 10, 20)がいうように,「論法の庫(くら)」(argumentorum sedes)であり,したがって実際的な目的に役立つものである.しかし[……]これらのこと[省略箇所を指す]は,まさに,修辞学がその本来の意味と存在目的を失ったことを意味する.その代わりに修辞学は文学のあらゆるジャンルへ参入した.その精巧をきわめた体系は,文学一般の公分母ともいうべきもの──形式理論と形式集成になった.これは古代修辞学の歴史における最も重大な発展である.そしてこれとともにトポスもあらたな機能を獲得する.すなわち,トポスは文学全般にわたって用いうる常套句(クリシエ)となり,文学において把握され形成された人生のあらゆる分野にひろがった.[……]


ところでこれは売り切れですか.....

近代とは何か―その隠されたアジェンダ (叢書・ウニベルシタス)

近代とは何か―その隠されたアジェンダ (叢書・ウニベルシタス)

あまりにも衝撃的な出来事があったのだが

ここに書くわけにもいかないので、記念に AA を貼っておく。

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