isbn:4833221438

 社会的分化のこのような一般的な予備条件*…は、

  • 歴史的発展の経緯の中で組織の形成と崩壊の連鎖の中で、それらとともに形成されてきた。
  • 国家だけがそれらを算出し保障したわけではない。
  • それらは法的保障や問題決定の産物でもない。
  • しかしそれらは国家に「何らかかわりを持たない」「純粋に社会的な」領域に属するものでもない。[29]
* 「予備条件」とは、「社会分化が成立するためには コミュニケーションのあり方がどのようでなければならないか」ということ。

 このような解釈の意味と射程を明確にするために、我々は次の二つの小において通説的な基本権ドグマーティクのメタ法律学的な基礎を論じなければならない。そしてそれをシステム理論的、コミュニケーション理論的な問題の定式化に前もたらさねばならない。本質的には、我々はそうすることによって二つの観念にかかわることになる。その二つの観念は、基本権そのものと同様に、法源ヒエラルヒーをめぐる中世の理論の解消過程において生じた観念であり、基本権に固有の問題性もこの解消過程という移行状況との関係において成立した。その観念とは、

  • [第3章] 第一には、国家と社会の区別 の理論である。
    それは、コミュニケーション領域の分化の問題に定式化を施すものであるが、暫定的でまだ不適切なものにとどまっている。
  • [第4章] 第二には、もはや存在論的-神学的でない基本権の根拠づけの試みである。
    啓蒙期の理性法の解体後の今日においては、そのような試みの中で価値理論的あるいは精神科学的ドグマーティクが卓越したものとして存在している。しかしそれは、コミュニケーションの一般化の問題についての、やはり暫定的で、まだまだ不適切な定式化を行っているにすぎない。[32]