借りもの:土方 透編(2004)『宗教システム/政治システム―正統性のパラドクス』

こちらも『権力』用。
総目次:http://d.hatena.ne.jp/contractio/20140711

宗教システム/政治システム―正統性のパラドクス

宗教システム/政治システム―正統性のパラドクス

II 政治システムの閉鎖性:政治はすべてを支配しうるか?

  • 第4章 国家の政治か社会の政治か:政治的なものの定式化における要諦としての集合体(アルミン・ナセヒ)
    • 1 「あらゆる領域を統括する領域」としての政治
    • 2 政治の機能
    • 3 政治的社会
    • 4 可視性と権力
    • 5 閉鎖と解放
    • 6 政治的なものの定式化における要諦としての集合体
  • 第5章 政治システムの自己記述:問題論的観点からの注記(アンドレアス・ゲーベル)
    • 1 はじめに
    • 2 自己記述の理論
    • 3 政治システムの自己記述の歴史
    • 4 国家の歴史
    • 5 自己記述の形式
    • 6 システム理論とケンブリッジ学派
    • 7 テクストの働き
  • 第6章 政治と世界社会(ルドルフ・シュティヒヴェー)
    • 1 ルーマン理論における世界社会概念の歴史
    • 2 社会の政治
    • 3 政治の進化
  • 第7章 友愛の政治と社会の政治:ジャック・デリダ二クラス・ルーマンの政治理論について(ミヒャエル・マクロポウロス)
    • 1 友愛の政治
    • 2 社会の政治

ナセヒ「国家の政治か社会の政治か」

95 ルーマンからの引用:

政治の大いなる悲劇はこのこと[権力メディアの可視性]によってだけでもかなり説明される。権力は常になんらかの形式をとらなければならないし、つねに提示されなければならない。そうしなければ、だれも権力を信じないし、だれも自発的に、権力が行使されるだろうかなどと気にしたりしないであろう。

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ルーマン福祉国家との関連でくわしく述べているのは、解決不能な諸問題を解決可能にすることについて全面的に責任を負っているのは政治だという過剰な期待に、政治がますますさらされていると政治そのものが感じていることである。それらの諸問題が解決不能なのは、「それらが、社会システムの機能-構造的分化を政治システムに投影しているから」である。

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『社会の政治』において理論的・学問的に描き出されている問題とは、政治システムがまさに実践的に悪戦苦闘して取り組んでいる問題、つまり政治的まとまりを新たに形成するという問題である。