第2章「存続と出来事 Bestände und Ereignisse」

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段落ごとのトピック一覧

  • ルーマンが使わない時間カテゴリ
    • [1] 流れ・運動、運動の尺度
    • [2] 構造と過程(社会学
  • [3] 「信頼についての理論は時間の理論を前提する。この時間論という前提は、非常に困難な暗黒の領域に達しているので、我々は本書においてその前提を解明することはできない。」 ただし「システム分化」に関わるちょっとしたことについて論じる。
  • [4] システム分化と時間: 〈システム/環境〉分化には、時間的な側面がある。つまり、環境の変化とシステムの変化が1対1対応せず・ズレる、ということ。
  • [5] ここに「変化と不変化の併存」という問題が生じ、これが人間の体験・行為にも再び登場する。
  • [6] 〈出来事/持続〉への最初の一歩:「人間のあらゆる時間体験の根底には、反省によって自覚しうる基礎的事態として、印象の変転を貫く持続の体験がある ein Erleben von Dauer trotz Wechsels von Impressionen」
    • [7] 出来事
    • [8] 存続: 変転と独立に持続する
    • [9] 存続と出来事は「それ自体」としては把握できない。
    • [10] 出来事と存続は、互いに否定しあうことによって、「それ自体」としては把握されえない時間図式が成立する。
  • [11] 信頼は 確実性Sicherheit の一形式。その基盤は持続としての現在。
  • [12] 信頼の準拠問題は、「未来は、現在において現実化されうる可能性よりも遥かに多くの可能性を含む」[=複雑性]という事態。
  • [13] 〈現在にとっての未来/未来における現在〉の違いを自覚すると、選択のチャンスと不確実性が生じる
  • [14] 信頼は、「〈未来の諸現在〉の中から一つを選び、現在と未来につながりをつける」という課題に答える。
    • 信頼: 未来を現在化しようとする
    • 計画・計算・未来構想: 未来の諸現在を実現しようとする

何を言ってるのか判らない。

計画の複雑性が増大するにつれて、様々な〔欲求の〕充足や決定のうちでも、各時点ごとに計画したり期限を設定しても〔現在の〕確実性と等価なものが得られないものが増えてくるが、そうした〔欲求〕充足と決定に関しては、それを繰り延べることが、より拡大した範囲で必要になってくる。かくして、複雑性が増大するとともに、また、現在を確実にすることが、たとえば信頼が、必要になってくる。道具的な変項と〔態度〕表出的な変項との区別…を用いれば、右の事情は明らかになる。

  • [15] 〈道具的/表出的〉は時間的区別
    • 道具的: 目的・将来の結果に関係する
    • 表出的: 存続の確実性において現在を安定化させる
    • [16]

現在を犠牲にして〔現在の行為を〕道具的に特殊化して〔将来に〕方向づけることは、合理的な機能達成の条件である。しかしながら、かかる道具的な方向づけは、産業社会学においてくまなく観察されているように、現在の意味の空洞化をもたらし、それとともに表出的な変項を求める圧力を増大させる。こんにち理論においても実践においても支配的な見解は、この圧力の中に問題を見出し、したがってまた、合目的な表出を計画し、道具化し、組織的に確立するという課題を立てている13。〔しかし〕そうすることは…暴力的な試みを含意する。
注13 感情を形成する集団的過程を組織目標に役立てさせようとする一切の人間関係の働きは、まさにこのことの好例である。

  • [17] 道具性と表出性のジレンマ輪郭は、複雑性の問題に関係づけるとはっきりする。
  • [18] 時間論への復帰
    体験と地平の時間的構成:複雑性の縮減
    • [19] 「時間は複雑性の縮減である」
  • [20] 信頼の機能: 「現在」が持つ複雑性を縮減する潜在的な働きを強化すること。出来事に抗して存続を強化し、出来事に関してより大きな複雑性を伴い生活し行為することを可能にすること。
  • [21] 〈出来事の制御/信頼〉
  • [22] 物の制御によって信頼を代替することはできない。むしろ技術的に生み出される将来の複雑性に耐えるためにこそ、一層多くの信頼が要求されてくる。

その他

タルコット・パーソンズは、正当にも、まさしく政治過程の複雑性の未規定性との連関において、小集団規模での表出的な連帯が 政治的な信頼の基礎として重要であることを考察している19。と同時に、こうした事例は次のことを教示している。すなわち、政治や、あるいは経済もそうであろうが、そうして全体社会の部分システムは、十分に現在に対処しえないのであって、そうえあるからこそ、信頼を形成するような現在への関わりを確保する、別種の行為領域に相変わらず依存しているのだ、ということである。

  • 二大政党体系の理論モデル
  • 安定性・弾力性・政治的支持の変化
  • 合意と分裂
  • 進歩と保守
  • 結び
  • 技術的注釈