II-IV 言表様態の形成

言説に対する主体の位置について、臨床医学における医師の位置を例に。

臨床医学は、医学的言説における、いくつかの互いに区別される諸要素の間の関係設定とみなされなければならない。つまり、臨床医学は、

  • 医師の地位にかかわっていたり、
  • 医師がそこから出発して語る制度的で技術的な場所にかかわっていたり、
  • 知覚や観察や描写や教育を行う主体としての医師の位置にかかあっていたりする

さまざまな諸要素のあいだの関係設定である ということだ。次のように言うことができるだろう。すなわち、さまざまに異なる諸要素のあいだの(…)そのような関係設定が、臨床医学的言説によって行われるのだ、と。それらの諸要素すべてのあいだに、「現実に」は与えられていないし あらかじめ構成されてもいない 諸関係のシステムを設立するのが、実践としての臨床医学的言説なのである。[105-106]



各節末でのまとめ
  • VI [108]: 一つの言説形成における言表行為の体制を、超越論的主体に訴えることによっても心理学的主体性に訴えることによっても定義してはならない
  • V [122]: 言表の諸々のタイプの形成を分析するためには、それらのタイプを、認識する主体にも、一つの心理学的個別性にも関係づけてはならない