第1章「現状」

ISBN:4535577099 ISBN:3170016342

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2 概念法学と利益法学、法解釈学と法理論、法律学と法の科学

  • 利益法学への転換は、関心の中心が「概念体系」から「行為体系」へと変更されたことを意味している。
  • この発展は、二段階の抽象手続きの承認を強いる:
    • 一段階目の抽象: 法における法解釈学
    • 二段階目の抽象: 学における法理論
テンポの圧迫と時間志向の転換

あらゆる具体的な法的諸問題を一旦さておき、さらに刑法、民法、公法といった大きな法領域の差異さえもさておき、法律家の伝統的な概念的‐教義学的な志向の足場もカズイスティックな志向の足場もぐらつかせるような、二つのグローバルな発展傾向があるように思える。

  • 一つには、法は、それ自体として加速された全体社会的な諸変化への適応におけるますますのテンポ要請の前に立たされる。全体社会的な諸過程との関係において、そして、法変化自体の、とりわけ立法のテンポとの関係において、教義学とカズイスティックは構造発展の手続きとしては、個別事例における法的判断形成のあらゆる素早さにもかかわらず格段に遅すぎる。
  • もう一つに、われわれは、市民社会自己実現の過程で全体社会的根本志向の過去から未来への転換を観察しうるが、この転換によって、諸決定はもはや信頼のおける規範的ないし事実的な種類の諸所与を通じてではなく、今やそれらの帰結を通じて正当化されうるということになる。この結果志向は法においても貫徹されてきた。

3 法をめぐる概況

しかし、法を、数多くの様々な社会状態および迅速に変化する規範の素材と確実に両立できるようにするような、そうした概念的教義学的な抽象の なお汲み尽くされない可能性が、ひょっとすると他にもまだ存在するのではないだろうか。 ― あれやこれやの契約がそれらのその都度の内容とは独立して純粋にそれ自体として拘束力をもつということに人びとがかつて到達し得たのとちょうど同じように。