ヘスフラ『エスノメソドロジーへの招待』

夜食。
いやーこれ勉強になるよ。こういう教科書が書けるのはエラいですねー。

An Invitation to Ethnomethodology

An Invitation to Ethnomethodology


この本の全体の構成は、「身近なところ*からどんどん視野を広げていって、エスノメソドロジーでどこまでいけるかみてみましょう」という感じになっていて、それで、一番最後から二番目(9章)に「組織で働く人々・専門職」が、そして最後(10章)に「科学実験室」が、“身近じゃないところ”の例として挙げられている。

で、オチは当然、エスノメソドロジー研究は“身近じゃないところ”でだって できるよ」
* エスノメソドロジー研究が得意とするところ(だと みんなが思っているところ)。

 もっとも、著者たち自身は──「組織研究」はしてるけど──「実験室研究」はしていないので、10章は──次善の策として──「SSKとかストロングプログラムとか呼ばれる科学の社会学的研究 -と- 科学のエスノメソドロジー的研究 を“似てる”と考えている人が多いけど、ぜんぜん違うよ」ということを示すのに費やされているんだけど。まぁ私の関心には適うし、「入門」として充分勉強になりました、ということで。

 科学社会学における「社会的構築主義は、自然科学者の間に、「社会学」という学問を知らしめるのにとても役立っ(てしまっ)たので、
それは、「本来引出せる筈のない利得*を無理矢理引き出すと、どんな仕打ちにあうか**」という見本を示してくれているように私にはみえるのだけれど、
「それとエスノメソドロジーがどう違うのか」を ちゃんと考え・ちゃんと述べることは、「社会学は どういう学問であり得るのか」を 考えるために・そしてまた ひとさまに示すために、やっとかないといけない作業ではありますよね。世間的な旬は とっくに過ぎてるネタだけど。
* ちなみに──またもや──「批判的」な利得でありますな。
** 「悪名が高まり、ひとさまから無価値なものとみなされるようになる」という仕打ち ‥‥のように見えるんだけど。どうかな?


いくつかメモ:

[p.182]